懲役ダイアリー 2017年8月27日日曜日 『刑務所でゲーム』
島根あさひ社会復帰促進センターは半開放された日本でも珍しい刑務所。
受刑者は余暇時間(決められた時間ではあるが)、自由に自分の部屋の扉を開け多目的ホールで他の受刑者との交流、例えば談笑や、囲碁将棋を楽しむことができたり、給茶機にお茶を汲みに行ったり、新聞を読みに行ったり、本を自由に借りにいけたり、キオスクという指紋認証端末で日用品や雑誌などの買い物ができたりする。
刑務所ではあるが、そこまで窮屈な感じがしない。
受刑者は口々にこう言う。
「合宿に来たと思えば楽勝だよな。」
「全寮制の学校みたいんもんだ。」
おい、反省しろ。
多目的ホールや運動の時間は他の受刑者と話ができる。そこで暇な受刑者同士は色々なゲームを考えやり始める。
「山手線ゲーム!!お題はAV女優の名前!はいはいっ!あおいそら!」
ゲームは進化する。
「じゃあ次は記憶力ゲームな!前の人が言ったことを覚えてどんどん付け足していくやつやろうぜ!じゃあエロ本のタイトル!プラチナプレステージ!」
「プラチナプレステージ、ファンザ!」
「プラチナプレステージ、ファンザ、エキサイティングjkスタイル」
「プラチナプレステージ、ファンザ、、、あれなんだっけ?」
「はい!負けー!!」
負けた人間は罰ゲーム。
モノマネや嫌いなやつは誰とかそういう暴露話をする。
まるで合コン。
東京拘置所にいた時のこと、未決囚の雑居部屋にトランプが置いてあった。もちろん、拘置所や刑事施設にトランプなど置けるはずもないし、置いてもならないのだが実際にトランプがあった。
自作のトランプ・・・。
私は目を疑った。その未決囚は棚から牛乳石鹸を取り出した。
なんの変哲もない牛乳石鹸。箱を開けると、中から52枚のカードが出てきた。
そのカードは、牛乳石鹸の箱を切り取り、牛のマークが印字されたパッケージの裏に、赤と黒のボールペンで、ハートのAやクローバーの5と書かれていた手作りのトランプ。
「こうやって箱に入れておけば、箱の中身までは総点検が入っても刑務官には見られないから、絶対に見つからない。代々この部屋に受け継がれてきたトランプなんだよ。」
誇らしげな顔をし、トランプを隠しながら部屋の未決囚に配った。
東京拘置所でババ抜きをやった囚人はなかなかいないだろうな。
話を戻すが、島根あさひで変わったゲームを考案した受刑者がいた。
シェンロンゲーム
じゃんけんで(大っぴらなじゃんけんは見つかると調査になるので、口頭でグーチョキパーを言い合う)勝った人はシェンロンになる。
そして
『どんな願いでも一つだけ叶えてやろう』
と言い
他の受刑者からの願いを叶えるという、ただの罰ゲーム。
シェンロンは何を言われても
『たやすい御用だ』
としか言えない。
『腕立て200回お願いします!』
『た、たやすい御用だ!』
こんな事をして遊んでいる受刑者。
これが刑務所のリアル。
しっかり書き留める。
全ては順調に進んでいる。人生の成功に向けて。
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