懲役ダイアリー 2017年6月26日月曜日 『再犯するかもしれない』
ここ最近・・・。
嫌だなと感じることが鬼のように続いている。
感じることは・・・
全部で三つ。
一つ目・・・。
刑務所に入るとほとんどの受刑者が歯の悩みに直面する。特に虫歯や、差し歯が取れてしまったなどの問題が多い。
私の場合は急に歯茎から出血してきた。全くもって止まらない。これは医務に見せるしかないと思うも、歯科診療は診療の願い出をしてから最長3、4ヶ月くらい待たないと自分の診療の順番は回ってこない。
嫌だなぁ・・・。
二つ目。
腰に雷が落ちたかのような激痛が走った。
朝目覚めて、体を起こそうとしてすぐに・・・。
普段、腕立てや腹筋スクワットはやっていたが、あまり腰に負担のかかるようなことはしていなかったはずなのに。
昔やったぎっくり腰の再来か・・・。
何年か前に大雪が関東で降った時に、自宅周りの雪かきをしたことがあった。その時私は張り切って雪かきをしていたが、その最中に・・・
魔女の一撃
別名
ぎっくり腰を患ってしまったことがあった。
医務の診療を慌てて出した。歯科診療以外は比較的早く、診療内容によっては優先的に診てくれるので、私の診療はすぐに行われてレントゲン写真も撮影してもらえたが、医師の診断結果は・・・
「ただの筋肉痛ですね。」
ええええええええ・・・。
そうでしたか・・・。
・・・。
三つ目
妻から速達で手紙が届いた。速達が届くときは何かあるんじゃないか・・・悪いことが書いてあるのではないかと必要以上に勘ぐってしまう癖がいつの間にか付いていた。ちょっとした懲役病なのかもしれない。
封を開け恐る恐る中から手紙を取り出し、三つ折りにされた便箋をゆっくりと開く。上からじっくりと目を凝らしながら読み進めていくも・・・。
途中で読んでいられなくなってしまった。
妻の母親と妹が自宅へ来たとのこと。そこで、大げんかになってしまったらしい・・・。
喧嘩の原因は・・・
離婚を迫られたことによる反論。
妻は私のことを信用し、真面目に更生して必ず帰ってくる。だから私は待ちたい。離婚は絶対にしない。別れない・・・と告げたらしいのだが・・・
妻は母親から言われたこの言葉に対して何も言い返せなかったと言っていた。
再犯するかもしれない
再犯しないという保証はない
離婚しないのなら親子の縁を切る。
この言葉が私の目に入ってきた時、心の中で呟いたはずの言葉が勝手に喉を伝い気づいた時には、
「きつい・・・」
と口から溢れていた。
信用はゼロ。犯罪者は排除。家系から消えろ。
言葉で殴られたような感覚だった。
愛した妻にこんなに嫌な思いをさせてしまっている・・・。
実の母親と縁を切るまで言われても私のことを信じてくれている。
本当に申し訳ない・・・バカだ俺・・・。
俺は絶対に家族を幸せにし、人の役に立ち、社会に必ず貢献する。必ず。
再犯はしない。真面目に生きるんだ。
妻子のために、自分の未来のために、刑務所の雰囲気に流されず自分を持って生きる。やるべきことをやるんだ。
心底思ったことを書き綴っておく。
それにしても・・・
信用がないというのは・・・
お金がないことより・・・
きつい・・・。
いつの間にか四つ目の嫌なことが出来上がっていた。
全ては順調に進んでいる。人生の成功に向けて。
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