カナダを跨ごう ~ローマも添えて~【2日目:バンクーバー(2/4)】
紅葉を見にいこうよう
ホステルで爆睡の後、7時に起床。そういえばユースに宿泊したのは中学生ぶりかもしれない。同室に4人が押し込められているタイプであるが、幸いこのような環境でも寝ることに抵抗がない人間なので助かった。
さて、カナダは大体日本+1ヵ月分の季節の進み方をしているとのことで、今や街中の紅葉も見ごろを終え、道路は落ち葉まみれになっている様子である。とはいえ、まだ一部の街路では赤や黄色に染まった美しい並木を見ることができる。現地の人たちにとっては日常の光景であろうから殊更に写真に収めることもないだろうが、夏がようやく明けた遠く極東の島国からやってきた自分にとっては、シャッターを切らずにはいられない景色ばかりだった。
ホステル近くのバス停でトロリーバスに乗り込み、中心地北西に位置するスタンレーパークに向かう。そもそもバンクーバー市内に4日も滞在するのは、この後に控える大陸横断鉄道に何としてでも乗れるよう、万が一の飛行機の欠航や遅れに備えたためであって、特に行きたいところもなければアクティビティの予約をしているわけでもないし、ここであまりお金を浪費したくないというのが正直なところである。無理をして体調を崩したら元も子もないので、この1日はカメラ片手に公園を散策することに決定したのだった。
そんな低モチベで訪れたスタンレーパークであったが、なかなかにいいところで、市中心部を臨む入り江風の湾内には多数のプレジャーボートやヨットが所狭しと係留されており、カナダ海軍の記念館もあったりと歩いていて退屈しない。景色としてはまさしく地元金沢区は金沢八景あたりの上位互換に近しいので、いみじくも「金沢区の上位互換」と表現させてもらう。
さらに、バンクーバー市の目の前の湾には水上機の離発着水域が設定されているため、インディージョーンズが乗ってそうな小型水上機が頻繁に目の前の水面を離着水する様子も眺められる。その水上機たちの燃料を補給するためであろう、海に浮かぶガソリンスタンド(!)もあったりと、海側は新鮮な景色が続いていた。
それでは陸側は退屈なのかといわれるとそんなこともなく、もちろん紅葉もまだまだ綺麗な場所がある上、年代物の灯台やトーテムポールなどもあり散歩にはちょうどよい塩梅であった。地元の人も走りにきたり犬の散歩をしたりしているようで、こちらはまさしく横浜の根岸森林公園や山下公園、あるいは港の見える丘公園といった雰囲気である。
従って、バンクーバーは横浜市であることが示された。
Q.E.D.
ところで、観光客に写真を撮ってもらったり撮ってあげたりしたら韓国人と間違えられたので、俺は日本人だが?と返したところ、日本人なのに英語上手いな!!と返された。あまり日本人を舐めるなよ…
お土産探し
せっかくなので、ホステル帰りに中心部に寄ってお土産探しなどもする。市の中心から微妙にずれた位置にあるウォーターフロント駅の近くには、蒸気時計が置かれたガスタウンという区画がある。これはだいたいみなとみらいの赤レンガ倉庫のちっちゃい版みたいな感じである。本当に横浜市みたいだな。順張りなお土産屋さんがいくつかあったのは昨日の伊能忠敬で把握していたし、蒸気時計がポーと鳴くのも見てみたかったので、身軽なうちに一通りながめておくことにした。荷物の都合上の諸条件をクリアしたものを家族や友人宛にいくつか見繕って、バンクーバー最終日に買っていけるようにリストアップしておこう。
ところでこのウォーターフロント駅、なかなかいい駅である。かつてこの駅は大陸横断列車の起点駅として栄え、東海岸のトロントやモントリオール、果てはケベックに向けて、カナダ太平洋鉄道(CP)が運行する大陸横断列車が発着していた由緒正しきターミナルであった。外見もその威厳を示しているかの如く重厚なレンガ造りで、普通にかっこいいなと思える佇まいである。その後大陸横断列車はVIA鉄道の運行となり、発着駅もこれまた中心からちょっと外れた南東のパシフィック・セントラル駅に変更されたので、今では港から陸揚げしたコンテナが貨物に積み替えられるターミナル駅となっているようである。この駅を基点にバンクーバー市内のメトロが伸びており、これはこれで面白かったのでまた別の機会に。
次の日はこちら。