カナダを跨ごう ~ローマも添えて~【1日目:バンクーバー(1/4)】
日系LCC、可もなく不可もなし
まず初めに、ZipAirってどんなもんじゃいという点から。
何より、日系航空会社にもかかわらずオプション盛っても5万ちょいで北米に行けるというのは非常に魅力的である。同路線のFSCの半額以下で飛べるのはかなりありがたい話で、一応JALの子会社でもある (機体もおさがりだったはず) のでなにかと安心感もある。機内でもいい意味でサービスが最低限なので、気ままに過ごすことができるのもいいと思う。最近北米東海岸にも進出したらしいので、ますます人気も出そうだ。実際今回も満席御礼だったし。
とはいえやはりLCCなだけあって機内はそこはかとなく治安が悪く、何度小突いても寝ながら領空侵犯してくる隣の外人、夜通し叫ぶか泣くかしているお子様達、ベルトしろって言われてるのに立ち上がってCAに怒られてる人等々…であまり気の休まらない8時間であったのも事実。やっぱLCCは慣れないな…
というわけで、完徹からの海外1日目、開始…!
拍子抜けの入国と、初めてのおつかい
機外に出た瞬間、日本+1ヶ月分ぐらいの気温に体が震える。そういえばこっちでは既に最高気温が1ケタの日も珍しくないんだった。
それと同時に、周りには日本語が一切なく、全ての表記が英語・フランス語・中国語 (なんで??) で占められており、昨日まで体感5割だった不安が7割5分位に増えるのを感じる。ここから先3週間、自分の身にどんなことが起きようとも、日本語で説明することは叶わない。その当たり前の事をようやく実感した瞬間だった。
降機した人たちの流れになんとなくついて行きながら、吹き抜けの2階部分に設けられた到着エリアを進む。動く歩道に運ばれながら、やはり外国の空港は日本のそれと違ってなんだかスタイリッシュだなーなどと物知り顔で腕組みオタクをしていると、あっという間に入国審査場である。思えば、前回カナダに訪れた中2の時の自分は、焦りと緊張から"Sightseeing"という単語が出ずに滅茶苦茶挙動不審になったものだった。出発前にさんざんyoutubeで予習した審査官とのやり取りを反芻し、「いよいよ初英会話だ…!」とドキドキしながらキオスク端末で諸々を入力し待つと…
いーーやそれだけかい
どうやら私が国内線ばかり乗っていた10年の間に世界の旅行事情はだいぶ進化し、事前にeTAを出しておけばキオスク端末で旅程等を入力するだけで入国審査が完了しているらしい。恐らくここまで楽なのはひとえに日本国籍のパスポート力 (ちから) のおかげなのかもしれないが、入国スタンプすらないのはちょっぴり味気ないものでもある。入国審査といえばコワモテの入国審査官にバシンと入国スタンプを押されるものだという萎びた先入観をアップデートされたのであった。
預けた登山ザックと12時間ぶりの再会を果たし (最後の最後まで出てこなくて初手ロスバケを覚悟した) 、 これにて無事に入国完了。まずは朝ごはんと一発目の英会話を兼ねて、目の前のTimHortonsに行ってみよう。
TimHortonsは、カナダで一番有名なドーナツチェーン店らしい。なるほど確かに道行く人はみんな特徴的な赤い色の紙コップでコーヒーを飲んでいる。その店舗数たるやカナダ国内に約3000店舗とのことで、日本で一番有名と思われるミスドの約1000店舗に比べると確かに数自体は圧倒的に多いが、単位国土面積あたりの店舗数ではミスドの勝ちである。ちなみにミスドには麵料理があるがTimHortonsにはない。あまり日本を舐めるなよ…
何はともあれ、私の英語は無事通じ、コーヒーとオールドファッションを手に入れることができた。疲れた脳にドーナッツの甘さが沁みる。なんだ、日常英会話ちょろいぞ。自力で最低限の食料を確保できることが確認できたのはかなりアドだ。少なくとも、この旅行中に餓死することはないであろう。ここから先、あらゆる店において注文が通じる度に自己肯定感が上がる無敵人間になるのであった。
徹夜明けの伊能忠敬、疲労困憊
ところで毎日この文量は無理では?と書きながら思ったので、1日目はあと数文で終えることにする。
結局この日は市内に出て荷物を抱えながらひたすら歩き回る伊能忠敬ムーブをすることになったのだが、ほぼ完徹故の時差ボケと、そこそこ重たい荷物と、慣れない街並みと、体感で日本の1.5~2倍の物価と、冷たい雨と、買ったばかりで足になじまない靴とで完全にノックアウトしてしまったのだった。いろいろ書きたいこともあるが、多分他の日でも同じようなネタに恵まれるだろう。疲れからか早くも日本に帰りたくなってきたところで初日はおしまい。ユースホステルでおやすみなさい。
つぎの日はこちら。