カナダを跨ごう 〜ローマも添えて〜 【11日目:ケベック(1/2)】
実は人生初めての空港泊であったこの夜。見た目は汚いバックパッカーで、事前調査でもモントリオール国際空港での空港泊は安全とされていた(Sleeping in Airoortsとかいう物好きなサイト調べ)が、あくまで海外であることを踏まえ、念の為明るく人通りのある場所に寝床を構えた。2人ほどスマホの充電コードを貸してくれと声をかけて来る人がいたが、適当にあしらった。カバンを開ければlightningもUSB-Cもあるけど、返ってくる保証絶対ないだろ…
結果的にはほぼ一睡も出来ず(主に椅子が固かったのとカバンが枕にしては高すぎたからである)、むしろ明け方に中途半端に微睡んでしまったがために、昼過ぎまで不調に悩まされることになる。少し早いけど空港での暇つぶしもなくなったので、747線という市内行きのバスに乗り込み、モントリオール中央駅へ向かうことにした。朝ラッシュで渋滞する一般車線を横目に、内側に設けられたバス・タクシー専用車線をこちらではよく見るタイプの路線バスが日本の道交法では一発免停刑事罰コースであろう速度で快走していく。シートベルトもしてないし、今事故ったら重症は免れないだろう。
不調の身体に若干の車酔いが加算され、小雨の寒さも相まってすでにあたかもカナダ初日かのごとくバタンキュー状態であるが、ひとまずモントリオール中央駅に到着だ。ここもここで1943年生まれのご老体なのだが、構内はいかにもヨーロッパのターミナル駅といった具合で、しかも地下で他の駅と繋がり一大地下街網を形成しているらしい。まるで大阪の梅田地下街みたいだね。
お次はVIA鉄道のケベック行き(コリドー号)に乗車である。こちらの中〜長距離鉄道は、発車時間の10分前ぐらいにならないと改札が始まらず、ホームにも入れない。ホームに入ると大抵の場合既に列車が居るので、必然的に列車の入線・出発の写真はホームからは撮ることが難しい。なるほど海外にホームかぶりつきタイプの嫌な電車オタクが居ない理由もわかる気がする。
シーメンス謹製の近代的な列車は、市内を出ると直ちにスカイライナーばりの巡航速度を見せる。全くと言っていいほど揺れや騒音がないのはこの列車がなせる技かあるいは軌道の強さか。ひとまずこの3時間の乗車時間のうち前半分を睡眠に充てることで、朝から続く不調から完全に解放されたのだった。
お昼すぎ、列車はようやくケベック駅に到着である。
言うまでもないが、あまりにもいい駅である(これしか言っていない)。見た目がもうヨーロッパだ(語彙力)。これも初開業1915年の歴史ある駅である。こっちそんな駅しかないなぁ…
駅を背にして街を見れば、今まで10日間見てきたカナダの街並みとは明らかに違う雰囲気が感じ取れる。辺りはいよいよフランス語だらけだ。もはやフランス語しか書いていない看板や交通標識も目につく。て、手加減してシルブプレ…
まずは横浜の山手にありそうな急坂をえっちらおっちら登って宿に荷物をデポさせてもらい、それからゆっくり散策といこう!
まず一際目立つのが、市街地のど真ん中にそびえるシャトー・フロンテナックというレンガ壁の色鮮やかなホテルである。お前城かと思ったらホテルかよ…あたかもかつてこの辺りを支配していた王族あるいは貴族の住処かのごとき見た目だが、その実1893年に当時の鉄道会社(CP)の社主が富豪誘致のために作った資本主義の権化みたいな建物らしい。とはいえ、そのレンガ壁と屋根の緑青の色鮮やかな外観は街並みに非常にマッチし、違和感が無いどころかあたかも初めからそこにあったかのように思われる。恐らく周りの建物の多くがこのホテルの後に作られた為である可能性が高いが…
他にも様々な"この街良すぎポイント"があったのだが、なにぶん日も傾き始め、睡眠時間も足りてないから眠気もやってきた。朝から何も食べてないので、とりあえず名物らしいプーティンとビールだけ胃に入れて、宿のベットに飛び込んだ。気絶するかのごとく爆睡。
レストランやパブに入る度、円安と物価高とチップ文化へのヘイトが溜まっていくのを感じるなぁ…
素敵な街ケベックの2日目はこちら。