とーさんの、食。 思い出記録note
「なんか美味しいもの食べよう」
とーさんは出掛けた時、度々言い出す。
”なんか”って、なんだっただろう?と今も思っています
食べ物の好みは、家族でも微妙に違くて、
とーさんと、かーさんとは正反対で、
とーさんの、「美味しいもの」のリクエストは、なかなか難しかったです
有名店や名店の料理を並んで食べるタイプではないし、旅先で突然言い出すので、
どこかの道の駅でラーメン食べたり、かき揚げそば食べたり
コンビニでおこわおにぎりと豚汁買って、景色いいとこで食べたり
結局いつも同じ感じになりました
また突然言い出すだろうと予測して、張り切ってご当地のこのお店いいんじゃないかな、これ好きなんじゃないかなって下調べしたときに限って、
「ここで食べよう」
と行き当たりばったりに決まったり。
口に馴染んだ味の方が、ハズレなく、無難なアタリで食を選んでいました
おうちごはんは、とーさんの好きな食べ物、色々思い浮かびます
仕事で何処かの奥様に作ってもらった、しらすの天ぷら。
じーちゃんが好きだった、花豆。
ばーちゃんが作ってくれた、味噌おにぎり。
かーさんが作る、畑の野菜がゴロゴロに入ったおうちカレー。
茶碗蒸し。
チョコパイ バタピー イカの一夜干し
たらの芽の天ぷら お赤飯 混ぜご飯 おでんの、たまご
茶饅頭 ハッシュドポテト しっとり系のチーズケーキ
アサリのお味噌汁 ジャガイモのお味噌汁
あずきのアイス 旬のとうもろこし
ホットプレートで作る焼きそば、お好み焼き
季節の果物 もも 梨 りんご
とーさんは、好きなものは好きと言い
嫌いなものは嫌いと言い
とってもはっきりしていました
好きなものを食べた時の、むふぅっとした幸せそうな表情
美味しいね
また食べようね
また作ろうね
あの顔が見たくて、料理も頑張れたと思います
餃子を作る時は、生姜をおろしてくれた
肉ダネを混ぜ混ぜしてくれた
焼きそばやお好み焼きは、炒めるのとひっくり返すのはとーさん
手仕事、ありがとうと、会うことがあれば、言いたいです
雑誌を見て、ネットを見て、テレビを見て、
これ、とーさんが食べたそうだな
好きだろうな
とーさんの反応をいまだに想像しています
抗がん剤治療が始まって、免疫が落ちているからと、食の制限
とーさんが好きだったけど食べられなくなったのは
納豆 お刺身 畑のきゅうりの浅漬け 日本酒 漬物
なるべく加熱したものを食べるようになりました
色んな病院の食マニュアルをネットで調べて、微妙に違くて。
ざっくりと避ける食べ物に果物と表記されていたけど、こっそり、ももは、清潔な調理器具で皮剥いて食べちゃいました
ベイクドチーズケーキは、いいのかダメなのか、迷って迷って
材料が避ける食品リストに入ってるし
手作りもダメとあるし
最後の誕生日は、企業様の、パックに入ったチーズケーキ。
抗がん剤が効かなくなってきて、やめて、
輸血だけになって数ヶ月たった頃のケーキ。
もう、食べたいものを我慢する時期ではないのかな
そう思って用意したチーズケーキ。
だんだん食が細くなり、
柔らかくしたお粥
茶碗蒸し
アイス
ゼリー
食べることを拒否するようになったとーさんに、
「少し食べないと薬飲めないよ」と言ってしまいました
とーさんは、食べたくても食べられなかったのに
ごめんなさい、と、会うことがあれば、言いたいです
元気なうちに、その時食べたいと思ったものを
美味しい顔で食べることができるなら
それは、シアワセ、なんだなぁ