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父の闘病、たくさんの方々に助けられました

検索サイトの一覧に出てきた記事と、そのコメントを読んだことがきっかけで、ちょっとだけ、体験談を、書いてみようかと

世の中には必ず対立する意見がある
共感もある
分かってるけど、認めたくない一文もある
正直、恐れにも似た、疲れにも似た、微妙な脳みその働きがあって、直接は見かけた記事にコメントしないという自分の狡さ。

その記事は、在宅医療での輸血を取り上げていた。
主に、血液内科医の奮闘について。
在宅医療における医師の訪問時間は通常15分くらいだが、輸血を伴うと2時間くらいは時間が必要とのこと。(赤血球、血小板、何をどれくらいにもよるが、病院のベットでも2、3時間かかる)

この記事の内容について、人はどう思っているのだろうと読んだ
普段は、ココログチャりを避ける為に、多くのコメントは読まないのに、その記事についているコメントも全部、読んだ

高齢者への輸血は、穴の空いたバケツに大切な血液を注ぐようなもの
輸血によって救われるのは家族
ただの延命
社会保険のあり方

色んな意見があって、父が急性骨髄性白血病になってから読み漁った文章の中、目にしたことがあるものが多かった

在宅医療で輸血をするつもりだった
結局、輸血の予約日が来る前に、とーさんは家から、居なくなった

なぜ段取りしたか。
夢中。できることを、したかった。
在宅で、あと1ヶ月くらいは一緒にいれるかもしれないと思っていた

ギリギリまで、それこそ旅立つ一週間前まで、病院に通っていた
抗がん剤が効かなくなり、輸血だけで過ごすようになってから、半年。

輸血だけなら3ヶ月くらい…と言われていた。
半年。父は頑張ってくれた。頑張らせてしまった。

「大丈夫だよ。治すから。」
一緒に先生の話を聞いていたはずの父なのに、
「大丈夫、大丈夫」
本気なのか言い聞かせているのか信じたいのか、

わからなかった

私はダメだった。大丈夫じゃない、と思ってしまっていた。
情報を、漁りすぎていた。

でも、「大丈夫」にしたかった
事務的なやり取りをなんとかするしか私にはできなかった

最後に病院に行った時、父は車椅子に乗ってずっと待ち続けていた
その日の10日前は、元気に歩いていた
輸血の点滴がつながれた父をトイレに連れて行って、私が車椅子をどこまで近づけていいかわからなくてモタモタしてたら、怒らせてしまった

担当医から取り次ぎがあり、それまで通っていた総合病院のソーシャルワーカーさんが、輸血もできる訪問診療所を紹介してくださった
段取りの話をする時に、ちらりと見えたノートに、(看取り?)と、小さくかわいらしい字で書いてあった

担当医との最後の診察で、訪問診療になることの事務的な話をしていたら、
突然父に、「ちゃんと先生を尊敬しなきゃダメだよ」と言われた
咄嗟に、「尊敬してるよ」と言った
先生は、少しニコッとしてたように思う
本当に、感謝している
同時に、頭はこれからの自宅診療の手続きのことで頭がいっぱいだった

輸血にはベットが必要とのことで、介護を扱う地域包括支援センターに行って事情を説明し、(病気に罹患した直後の入院中に介護保険の申請をし、要支援の認定を受けていたが利用はしていなかった)電動ベットを手配してもらい
翌日夕方には福祉用具の会社の方がベットを運び入れてくださり
訪問診療の先生と、看護師さん、事務の方がきて説明してくださったり

沢山の方に、助けられた
沢山の方に、手間をかけてもらってまで、自宅で過ごしたいと言う父の希望を叶えたかったし
多分、私が、病院で別れたくなかった
最後、父が病院で輸血を受けている間、看護師さんに入院するのか確認されて、在宅にする予定ですと答えた記憶がある
あの時、うっすらと、ここで別れたら、会えない気がしていた



在宅輸血のために手配したベットは、4日後に返却となった
輸血はキャンセル
地域包括支援センターの職員さんの介護計画書は、本人がいなくなってから、形式的にサインだけした

色んな人にお世話になった
感謝している
同時に、色んな記事を読むと、仕事をさせた 迷惑をかけた
そうかもしれない、と思う
時間を使って、必要のない仕事をさせてしまったのかもしれない

でも、患者の家族、の私には、無駄とは微塵も思ってない
みなさん、知っていることを教えてくださり、命に向き合ってくださった

確かに、高齢者への輸血で血を使い、
税金を使ったことになる
私は、持病の薬で献血はできないと言われてしまったし
私は、家族に使った分、税金を納められるだろうか

結局、
みなさんありがとうございました
と、
色々思うところがあるなら、ごめんなさい、だ



もっと、もっと、色々調べるだけじゃなくて、
父と雑談すればよかった

「鼻が詰まる」と行って、鼻かんでばかりで、ベットの側にティッシュ置いてあっても、「テッシュとって」と言うので目の前に1枚渡した

「ベットの角度変えて!」と言うので調整した

「なんでこんな病気になっちゃったんだろう」って呟いたのを聞いた

家だったから向き合えた、父の姿をずっと覚えている

尊敬してる
日々多くの患者さんと向き合う中、対応してくださったお医者さんも、看護師さんも、社会福祉士さんも、センターの方も、ケアマネさんも、福祉用具の会社の人も

がんばって生きてくれたとーさんも

ずっと、ありがとうと思ってる


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