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住友赤平炭鉱 坑口浴場(北海道)
北海道赤平市に遺る住友赤平炭鉱第一立坑。閉山して幾年たてどその堂々とした姿を見せる大炭鉱施設は、かつての炭鉱の熱気を今に伝えてくれる。この第一立坑にて大量の石炭、幾多の資材の運搬、そして数多の坑内員が地底と往復した様子が目に浮かぶ。この立坑口の隣には、地上に生還した坑内員が採炭の汚れと疲れを落とした場があった。炭鉱が運営する”坑口浴場”である。
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坑口浴場は、坑内員が入坑する身支度をし、勤務明けに湯を浴び、帰宅の身支度をする場所であった。住友赤平炭鉱は、最盛期んびは3000名を超す人員が交代制で24時間稼働していたため、着替えをする施設も巨大だ。
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千人を超す坑内員の脱衣所として、ロッカーを並べてはとても場所が足りないがため、着替えや作業着は天井に吊るしたケージに収めて、着替えの時にだけケージをおろしていた。ケージを吊るしたひもは、鶴瓶を介して壁や柱の側に並べられたフックに結ばれていた。
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広い空間をもった脱衣所のすぐ隣には、また広い浴槽を持った浴場が備わっていた。この浴場にて、地深く採炭作業にあたっていた坑内員が、一日の全身に浴びた汚れと汗、一日の労働の疲れをおとした場所である。暗闇のなか懸命に働いたあとの風呂は、なんとも言い表せない慰労だったに違いない。
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壁にかかった鏡が遺されていた。坑内員が帰宅するとき、真っ黒に炭鉱焼けした顔が綺麗になったか確かめた鏡だろう。鏡の縁には「御安全に」という一文が、坑内員に伝える想いがそのままに、労働者に対する温かみを感じる。
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往年の安全啓発ポスターがそのまま貼られたままだった。写真の質から最近までこの炭鉱が操業していたんだろうとうかがわせるものだが、なかには手書きのポスターも貼られている。企業印刷物のポスターとちがって、手書きのポスターの方が、安全を願う気持ちの温かみが伝わる気がする。
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立坑口へ通じる地下道は埋められたようだ。この連絡通路を大勢の坑内員が行き来していたのだろう。入坑へ向かう緊張、帰宅の徒に向かえる安堵、みな同じ気持ちを胸にこの地で生活していたのだった。
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住友赤平炭鉱の人員は最盛期(昭和40年ごろ)は3500人を超す巨大炭鉱であった。その分施設も大変大きく作られていることがうかがえる。閉山した平成6年は人員400人を割っていた。この広い坑口浴場も広い空間がさえってさみしく思えたものだっただろう。現在でもこうしてかつての炭鉱施設が綺麗に遺されていることに、感激と労働者への畏敬の念が湧いてくるのだ。
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