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新スタジアムの集客効果
最近開業したサッカースタジアムといえば、長崎のピーススタジアムです。その集客効果は、2024シーズンにトランスコスモススタジアム長崎で開催した16試合は平均8,098人だったのが、ピーススタジアムの3試合は平均18,964人に増加しています。なんと2.33倍です。また前年の終盤3試合は平均7,736人なので2.45倍となります。まだ開催数が少ないので、今年の数字を引き続き追ってみたいと思います。
2024シーズン開始時にオープンしたのが広島と金沢です。エディオンピースウィング広島を使用するサンフレッチェ広島は、前年の平均16,128人から、25,609人へ増加し、1.59倍となっています。大半の試合が満員御礼のようですので、まだ席が多かったらもっと増えていたのかもしれません。
金沢ゴーゴーカレースタジアムを使用するツエーゲン金沢は、前述の2クラブとは状況が異なり、新スタジアム使用開始と同時にJ3にカテゴリを下げています。それでも、石川県西部緑地公園陸上競技場でJ2を戦った2023年の平均4,225人から、5,435人へと1.29倍増加しています。もし所属カテゴリが同じだったらもっと増えていたことでしょう。
2023年からアシックス里山スタジアムを使用するFC今治は、隣にあるほぼ同じ立地のありがとうサービス.夢スタジアムからの移動になりますが、平均2,320人から平均3,711人に1.60倍増加しています。そして新スタジアム開業2年でJ2昇格を実現しています。
新設のカンセキスタジアムとちぎ(陸上競技場)を2020年に使用することになった栃木SCについては、栃木県グリーンスタジアムの18試合が平均2,095人で、カンセキの2試合は平均7,627人と3.64倍の結果が出ています。これは試合数が違いすぎますが、翌2021年はグリスタ8試合が平均2,591人、カンセキ13試合が4,642人で、1.79倍の差が開いています。
2020年に開業したサンガスタジアムを使用する京都サンガFCでは、たけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を使用した2019年は平均7,850人でした。開業した2020年はコロナの営業がありましたので平均3,321人に止まりましたが、その後J1に昇格したこともあり、2020年はサンガスタジアムで平均11,692人。Jリーグ全体がおおよそ2019年の集客水準に戻った2023年には平均13,229人で、あえてここで比較すると、1.69倍になっています。新スタジアムが開業して2年で昇格し、集客も確実に増えている状況です。
少し空いて2010年代には、2015年に長野Uスタジアム(大規模改修)、2016年にパナソニックスタジアム吹田、2017年にミクニワールドスタジアム北九州の3つが開業しています。それぞれ1.32倍、1.58倍、1.84倍(J2からJ3に降格したのに)というはっきりとした集客効果が現れています。
これらの事例から考えると、新スタジアムができて同カテゴリのままなら、入場者数の平均は1.32-1.79倍に増加しており、もし開業時に降格しても1.29-1.84倍と残留時とほぼ変わらない入場者像が期待できるようです。そして、早々に昇格を実現したクラブも3例あり、さらに今年も事例が増えそうな状況です。中央値から考えても、新スタジアムを建設する場合は既存の平均入場者数の1.6-2倍くらいの席数以上で検討するのが必須と言えそうです。