リノベーション古民家に住む方法と体験記(その2/設計工事編)
前回のコラムでは、SUUMOで見つけた「古家付き土地」を購入し、金融機関からの借入をした数日後に妻の苗子さんのご懐妊がわかったところまでだった。今回のコラムでは、その続きを書いていきたいと思う。
2015年10月末にSUUMOで見つけた物件だが、約半年の間にプロジェクトの構想を作り、2016年4月に金融機関からの4500万円の借入が無事、決定した。
基本設計は終わっていたが、これだけの古民家の場合、実際に天井を剥がしてみたり、色々と解体していかないと細かな設計を進められない部分がある。実際に、大枠の工事予算は決めてはいるものの、古民家のリノベーションの場合、現場で様々な部分を解体をしながら、柔軟に進めていかなければならない。新築と異なり、生き物を扱っているようだ。
前回のコラムでも話したが、妻の苗子さんの妊娠が発覚し、その後、苗子さんのツワリが酷かったため、脳が停止状態に入ったようで、全く設計が進まない状況に。。。
僕も仕事から帰ってくると設計が進んでいない。。。どうするんだ?!という状況でした。一方で、リノベーションは設計も大事ですが、新築と異なり、現場での対応の方が重要となるため、現場でもアドリブと既存建物との対話による柔軟な設計が重要となる。ツワリで設計が進まなかったが、幸い、現場での対話による進められたのは良かったのかも?!
とは言え、本人はプロジェクト終了後、設計事務所時代に自分が培ってきたものは全く出せなかった。と言うぐらいなので、妊娠・設計は大変だったのでしょう。。。仕事から帰ってきた時に、全く進んでいない設計を見て、なんで進んでないの?と訊いた僕は今思えば、完全にNGの質問だったと今では反省している。
そんな現場での対応の中で、ひどい雨漏りをしている箇所が見つかり、本来、屋根の葺き替えの予定はなかったが、急遽、屋根の葺き替えを実施し、合わせて、屋根上での断熱・防水・瓦からガルバリウム鋼板への変更を決定した。その結果、400万円の追加が決まり、設計変更によるVE(減額調整)と僕と妻と母による自己資金の追加により、なんとか乗り越えた。
古民家リノベーションの場合はこのような急な工事費アップがあるため、自己資金が少ない人は、当初から防水や耐震などを「フル」で見ておくのがオススメである。そのため、古民家リノベーションを実施する人が少ないということもあるのだが。
もちろん、雨漏りしている箇所のみを修繕すれば、もっと安くなったが、雨漏りなどは建築構造を痛め、建築の耐用年数を著しく縮める。そのため、建物の長寿命化という視点でもマストだと思っている。
また、今では古民家リノベーションの場合、これらの経費は最初から見るようにしている。後からかからないとなれば、ラッキーとぐらいに見ておくほうが良い。
「断熱」「耐震」「防水」は、
古民家リノベーションの必須3点セット
古民家をリノベーションする際に重要となるのが、「断熱」「耐震」「防水」の必須3点セットだ。
古民家の住宅利用の場合、4号建築となるため、増築などをしない限り、建築確認申請が必要ないため、耐震などをしないまま利用する方が多くいるが、僕は基本的にはそれはNGと考えている。
古民家を次世代へ住み継ぐための投資
日本では古民家等の古い建物には、経済的資産とはならないが、少なくとも文化的価値や地域の資源となっていると考える。実際に古民家の梁等の材料を見るだけで今では絶対に使われないような大きな材料を使われていたり、それだけでも経済的価値は現状、ないかもしれないが、僕自身には価値があるものだ。僕たちは、この資産・資源を購入し、未来に住み継いでいく責任があると思っている。そのためには、今後この建物が長く使われるように、きちんと手をかけてあげる、次世代へ住み継ぐための投資が必要だと思っている。その投資が、「耐震」「防水」だ。
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