日日と魂に:子育てや疾患についての走り書き_13
2024/7/28
今宵はめでたく、晩ごはんどうしても作れないday認定。娘がすき家のお子様鶏そぼろ丼が大好きなため、満場一致ですき家飯に決定。
妻に娘を託し、一人近所のすき家へ向かった。
店内に入った途端、憤怒?怒気?の充満する異常な気配を察知、カウンター周囲を見渡す。何かが起きている。
レジの前にはぱっと見10人以上の待機列が出来ている。どうやら皆食事は店内で済んでおり会計待ちのようだが、店員が一向に姿を現さないのだ。いや、姿を現さないのではなく、こちらへ来てくれない。店員は思いの外大勢いる。
テイクアウト用のタッチパネルをぽちぽちしながら背中越しに更に様子をうかがう。店内至るところから同時多発する舌打ちが耳をこする。オーダー後しばらく食事が出てこない家族連れも数組あり、父親がいらいらしながら店員に催促を続け、母親にやめなよと嗜められ、子供たちは俯いてスマホや手持ちのゲーム機を操作し一言も発さない。カウンターでビールを飲むじいさんが大きい声で誰に対してか全く分からない発言をする、「ここまだ俺の席ね」。酔った表情でトイレへ向かうじいさん。店員たちは一体何を?カウンター内と厨房の様子をうかがう。
厨房には、日本語カタコトの外国籍女性が一人、カウンター近辺には日本語カタコトの外国籍男性が四人いた。明らかに人手不足なのだが女性が単独で厨房を回し、「今やってる!」と誰かに大声で怒鳴っていた。男性四人のうち、三人は会計業務もままならない新人かぽんこつのようで、味噌汁のお椀を取って拭いて戻したりダスターで自分の周りのあらゆる面という面を拭くなどしている。唯一会計業務が出来るらしい日本語カタコトの男性一人は、事前予約の受け取りトラブルに対応中でレジへ回ってくることが叶わない。
一軒の牛丼屋さんが静かに終わっていた。
適応障害うんぬんではなく、誰でもその場にいるだけで顔が赤くなるような、悲惨な現場と化していた。
退勤を試みたベテランバイトっぽいこれまた外国籍の男性が呼び止められ、ため息を吐き、私服でレジ打ちを始めた。私服のまま、客にいつまで待たせる気だとぼろくそにけなされている。そしてそしらぬ顔ですいやせんしたと怒りの切先をかわし続けている。
海外で仕事をしているということだけで、彼らは俺には絶対出来ないことをやってのけている。本当に凄いと思うし、尊敬に値するし、おいおい最悪な状況だ意地悪してやろうとは思わない。出来ればことを荒立てずに、家族の分の丼を買って帰りたい。
その一心でパネルからオーダーを送信した。
しばらく待つと、店内は騒然としたまま(状況はあまり変わっていない)、先に注文した丼が出てきた。「お待たせでした、ありがとうございました」。男性店員はそのまま黙ってしまった。俺は聞く、「お会計がまだ、かも」。
ことを荒立てたくない俺は、努めて優しく状況を伝えた。
それを聞いた男性店員は、突然泣き出した。
「すみましぇんでした、大変に申し訳なくたしかにすみませんでした、申し訳ございませんでした」。発作が起きるかと思うほどめちゃくちゃ怖かった。なんで泣かれてるのかが分からないからだ。
みんなこういう時にお金払わず貰っていって、閉店後レジ金が全く合わないことがしばしばあったのだろうか。優しく声をかけられたのがしばらくぶりだったのだろうか。全て邪推だ。そもそも外国籍、というのも俺の勝手な思い込みかもしれないのだ。
ここで起きていることは、誰にも説明のしようがないし、少なくともここにいる者に責任はないのだ。強いていうならば、配属を割り振った上の責任が求められる状況なのだろう。
泣かなくていいんだ君に関しては。そう伝えることは出来ず、淡々とお金を支払い店を出た。外から店内を見る。まだ注文が揃っていない家族たちの灰色の顔つきが目に入った。
全てが幻だったかもしれないが今もこのすき家はうちの近所に存在しており、つい最近24時間営業の形態がなくなってしまったところだ。
7/29
台所の隣のリビングで寝ていたら人生2度目の金縛りにあった。
天井を見つめていると、台所からたしっ、たしっ、たしっと音がする。
ああ、最近ドアノブを捻って開けられるようになった娘が来ちゃったか、と一瞬納得するが、足音があまりに一定でどうも人間のものじゃないと気が付いた。
視線がかろうじて動くようになった。音のする台所に目をやる。
壁にくっ付いて置かれたダイニングテーブルの周りを、コの字に歩き続ける真っ黒い犬の姿があった。毛並みが異様に綺麗で黒光りしており、金持ちが飼うドーベルマンのような見た目をしている。はっ、はっ、はっと息遣いも聞こえるようになった。
これは敵?味方?親戚で犬飼ってる人もいないし、何だこりゃ?と妙に冷静に考えているといつの間にか気絶、翌朝を迎えていた。
妻の親族にも、犬にまつわる変わった話があるような人物に心当たりはないという。
9/6
娘が寝言で「いいよっ」と元気に言ってくれる。ありがとうと返事をする。
9/16
娘の一番最初に買ったスニーカーがサイズアウト。トイレで一人泣く。1マス進む。