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同じ漢字が、違った読み方で連続して使われている単語の例「選り選り」(えりすぐり・よりすぐり)

今回は、「選り選り(えりすぐり・よりすぐり)」という表現について、詳しく考えていきたいと思います。また、その成り立ちや関連する言葉との比較も含めて、より深い理解を提供します。

1. 「選り選り」の構成と語源

「選り選り」は、まず「選る(える、よる、すぐる)」という動詞が基になっています。これを重ねることで、より強い意味を持たせる表現が作られています。この構成の背景には、日本語における「畳語(じょうご)」と呼ばれる言語的な手法があります。

畳語の効果

「畳語」とは、同じ語を2回繰り返すことで、その意味を強調したり、数量や性質を増したりする表現技法のことです。「少しずつ」や「日々」なども畳語の一例です。「選り選り」の場合、「選びに選び抜いた」という意味を強調するために、この畳語の形をとっており、特に優れたものを厳選する行為を際立たせています。

例えば、以下のような使い方がされます。

  • 「このワインは選り選りのブドウを使って作られています。」
    (非常に質の高いブドウが選び抜かれていることを強調)

  • 「選り選りの品々が揃っています。」
    (商品が精選されていること、品質の高さをアピール)

2. 「選る(える・よる・すぐる)」の微妙なニュアンスの違い

「選る」という動詞には「える」「よる」「すぐる」という3つの読みがあります。それぞれに微妙なニュアンスの違いがあり、その違いが「選り選り」の持つ特別な意味に影響を与えています。

  • 「える」: 一般的に「選び取る」という意味で、単純に複数の選択肢から1つを選ぶ行為を指します。日常的な「選ぶ」の意味が強いです。

  • 「よる」: 「選び抜く」「選定する」という意味で、より慎重に、そして吟味して選ぶというニュアンスが含まれています。選択の過程において、優れたものや目的に合ったものを見極めるというイメージです。

  • 「すぐる」: 「選び抜く」「精選する」という意味で、非常に優れたものを見つけ出すというニュアンスが強調されます。「選りすぐり」という言葉が持つ「優れたものを選び抜いた」という意味の由来にもなっています。

このように、「える」「よる」「すぐる」はいずれも「選ぶ」という基本的な行為を指しつつも、その深さや慎重さ、特に優れたものを見抜く力を表現するために使い分けられています。

3. 「選り選り」のニュアンスの深さ

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