メキシコ代表、日本サッカーに再び試練を。

「日本サッカーを日本化する」
そう語ったのは、かつて日本代表を率いた経験のあるイビツァ・オシムだ。
日本人には欧州や南米の強豪国を真似ることなく、日本人に合ったサッカーを追求するべしという意味だったか。名将ならではの言い回しではあるが、言葉の真意は的を射ている。

日本サッカー界には代々、大柄な体型や驚異的な身体能力を備える選手の存在は稀であり、持ち合わせている俊敏さや器用さを前面に押し出したうえで、戦術を構築していく必要がある。そして、それを突き詰めることで、初めて国際舞台で成果を得ることが出来るという、素人でも極めて理解しやすい「目標設定」だ。

その目標に対して常々モデルとするべきと言われ続けてきたのがメキシコ代表だ。日本人同様、選手の体型に頼ることなく、古くから自国サッカーの特徴を武器とし、世界でもサッカー強国の部類に入る。W杯はこれまで7大会連続出場を果たしており、前回ロシア大会もベスト16に進出している。金メダルを獲得2012年ロンドン五輪では準決勝で日本を圧倒した。

歴代の代表選手でメキシコの象徴的存在として挙げられるのが1990年代、代表のゴールマウスを守ったGKホルヘ・カンポス。確か身長は168㎝と、「規格外」を誇り、鮮やかなコスチュームと目を見張るようなビッグセーブでアメリカW杯において、その名を轟かせている。様々、持ち合わせていた強烈な個性でやはり目が釘付けとなったのがその身長だ。ピッチ上で、最も体格の大きさが重要となるGKというポジションで極めて小柄ながら、その驚異的な身体能力でゴール前に立ちはだかった。メキシコという国のサッカーは選手のサイズにはまるで拘らないという印象が、カンポスというプレーヤーを通じて植え付けられた気がする。

そのメキシコ代表と、日本代表との強化試合が18日に行われる。何れも「アジリティ」という言葉に置き換えられる俊敏さや、テクニックを中心にサッカーを展開する両国。現代の日本サッカーの象徴とも言える存在の久保建英は欠場とのことだが、同じ様に体格に頼らないプレーヤーが数多く揃っている。国際大会再開後は未だ、無失点を続けていて、好調さが伝えられている中、北中米の雄メキシコを相手にどんな戦いを見せられるか。

メキシコ同様、W杯の常連国と呼ばれる位置にまで辿り着いたかもれないが、実績からどちらが格上かは明らか。ロンドン五輪をはじめ、今まで要所で痛い目にあわされてきており、目指すべきスタイルのロールモデルでもある『先輩』に胸を借りる絶好の機会だ。ここらへんで、もう一度目を覚まさせられるような試練を与えられても良いだろう。(佐藤文孝)

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