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真っ黒いやつら
今朝方、わたしは何度かの叫び声で目を覚ました。
昨日はなかなか寝付けなくて、横になりながら携帯で動画を見たり、起き上がって紙とペンを出してテーブルでふとおもいついたことをあれこれ書いてみたり、また横になってはゴロゴロしたりしていた。
そしていつの間にか眠りについた。
*****
わたしは寝ていた、というか寝ようとしていた。
ふと右手側に人がいる感触があり、顔をそちらに向けると10歳くらいの男の子がわたしの手を掴んでいた。
姿は真っ黒なのに目だけわたしの方を向いていて、瞬時にこれは生きている人ではないとわかった。
すると寝ている部屋の引き戸がゆっくりと開き、その方向はちょうどわたしが寝ている目の前の位置で、そこには真っ黒な、でも男性だとわかる姿のやつが部屋に入ってこようとしていた。
そしてこちらも、生きている人ではないとおもった。
わたしは寝たまま動けずに、めちゃくちゃびびってどうにか真っ黒い子供に掴まれた右手を引き離そうともがいて、寝ながら全力で叫んだ。
一度叫んでも状況は変わらずもう一度叫んだ。
何も起きないしまだいる、また叫ぶ、真っ黒いやつらが叫び声になんとなく振動しているように感じた。
もっと叫べば消える気がする、とおもって更に大きな声で叫ぶ、右手はまだ真っ黒い子供に掴まれたままだけど、その感触は薄れていた。
引き戸の所にいる真っ黒い男も、叫び声でそこから入ってこれない様子だった。
わたしはもう一度、腹に力を入れておもいっ切り叫んだ。
すると真っ黒いやつらは一瞬にして消えた。
*****
わたしは、じぶんの叫び声で目を覚ましたのだった。
そして叫んだのはじぶんだということにもうすうす気づいていた。
左側で動く気配がして見ると、横で寝ていた娘が頭をあげて、目を開けたわたしに気づいてまた寝むろうとしていた。
「あのさ、ママ叫んでた?」
「うん、叫んでた」
娘がちょっと怖がっているように感じて、ごめんね、と言った。
が、だんだん可笑しくなってきた。
今、すごい叫んだよな、めっちゃ叫んだよな、わたし。
今住んでいる建物は、ちょっと大きな声を出すと同じ階に住んでいる住人に聞こえてしまう。
生活音のしている時間帯ならさほど気にならないが、夜中とか朝方などは、おそらくだいぶ聞こえちゃっていたとおもう。
まだ起きるには早い時間だったので、もう一度寝ようとそのまま目をつむった。
朝起きて朝食らしきものを食べながら、娘に聞いてみた。
「ママの叫び声で起きたの?(再確認)」
「うん、ママがすごい叫んでたから目が覚めて、何時だろうとおもって時計を見た時にママが目を開けたんだよ」
「そっか、ごめんね。それって何時くらいだったの?」
「5時過ぎくらい」
………朝起きてすぐに携帯を見たら、息子からLINEが入っていた。
息子は飲食店で働いているのだが、朝方、仕事が終わった後にわたしにLINEをしたらしかった。
その時間は5時過ぎだった。
んー、もしかしてあの真っ黒いやつは息子だったんじゃないのかな、とおもった。だとしたらマジでごめん。
娘に、
「あれって解放だったのかな?(夢の中でなんらかの)」
と言ったら
「解放し過ぎだよw」
と言われた。