ヒューマンの剥き出し
昨日は婦人科の定期検診に行った。
毎年のことだからもう驚かない
はずだったが
あー、そうだった、こうだった、
と毎回それなりに小さく驚く。
日本とは違って、剥き出しの部屋で
文字通りすっぽんぽんになり
紙でできた折り紙みたいなぺったんこの前開きの青ガウンを着て
前にでっかいキッチンペーパーみたいなのを巻いて待っていろとナースに指示される。
ナースが出ていった後、
日本の繊細な婦人科の診察構造との違いを思い出しながら
ニヤニヤしてしまうが、
今更こんなことでひるむサッチンではない。
すげーな、と思いながら
普通の、寒寒とした診察室の中で
カーテンすらなくて、
脱衣カゴもなくて
それでもえいやっと脱ぐ。
いっそのこと、と下も潔く脱いで
すっぽんぽんぽんを味わいつつ
おもむろに青いガウンに手を伸ばす。
ひもがね、こう、前開きだから
後ろから前にひもを回してね、
それらしく大事な部分などが開陳しないように結んだりできるのかなと思ったが
どう探ってみても、ひもが片側しかないの。
なぜかな、うーん、どういうこと?
で、三回くらい試して潔く諦め
でっかいキッチンペーパーを腰にまきつけて胸元がはだけるのを防ぎつつ
検査台の上にちょこなんと座り、先生が来るのを待った。
いよいよ「そちら」の検査、という時も
カーテンで隠しながら、なんてこともないので
もうドクターと私、ヒューマンとヒューマンが
これまた剥き出しの風通しで
なかなかに双方勇気がいる。
もちろん、ドクターはプロで百戦錬磨だから、
剥き出しを感じさせないトークで場を和らげてくれる
「クリスマスは楽しかった?」
「そこそこ、ですかね」
「え? そこそこ??」
などなど。
こっちも恥ずかしいだの居心地が悪いだの言っていてはプロのヒューマンとして失礼だろうと
堂々と行く。
かくして、女性の定期検診は無事終了した。
それにしても、誰も見ていないとはいえ
診察室ですっぱだか!
は、常に「なんだかなあ」な気持ちがしてしまう
リノリウムの床は普通に冷たくて
蛍光灯はあっけらかんと明るい。
日本だったら、ここで看護婦さんが
「お着替えはこちらで」
とカーテンを引き、
私はその隠れた場所で
谷崎的陰翳に優しく包まれ
コソコソっと上品におパンツを履くだろう。
その前に局所を拭いたりするいたれりつくせりな柔らかなウェットティッシュなども提供されるだろう。
そんなものはどうやら出てこないので
私は検査用ジェルで濡れた局所をゴワゴワしたでっかいキッチンペーパーのようなもので
ワシワシと拭き
椅子の上から服をワシ掴みにして
豪快に着替えると
ドクターのオフィスを後にしたのであった。
こころなしか、いつもよりも大股でワッシワッシとね。
ちなみにこの話は亜米利加の国鳥がハゲワシであることとは
たぶん関係ない。
がんばれサッチン。
本日も正常運転。