ナイフとフォーク
不思議な二人だ。
フォークはフォークだけで、一応は成り立つ。サラダもパスタも、変に気取らなければフォークだけで食べることができる。
でも、ナイフと一緒になると、フォークは変身してしまう。
いわばアップグレード。フォークに引き立てられるのだ。どちらかが前に出れば、どちらかが一歩引くように二人の息はぴったり。そうやってメインディッシュまでもを引き立ててしまう。
ナイフはナイフだけでは成り立たない。ナイフだけでは何も食べることができない。
でも、フォークと一緒になると、今度は二人してアップグレードしてしまう。
フォークただ一人では向き合えない肉料理や魚料理をナイフが助け、華麗に料理してしまうのだ。いわば料理を料理。そんな表現がぴったり。
ナイフとフォーク。
素敵な二人だ。
#短編小説 #ショートショート #詩 #エッセイ #渡辺美里 #アナザーストーリー #ナイフ #フォーク #ナイフとフォーク #400文字のショートストーリー