Monster
誰かがいじめられている。その子を助け、いじめっ子を叱るオジサンが昔はいた。
日が落ちても遊びをやめない子を、家族が心配するから帰りなさいと注意するオバサンが昔はいた。
親たちも、子どもが悪さをすれば声を荒らげて怒った。
子どもは泣いたり反省したり、ふて腐れたり。だから、親に誉められた時の喜びも人一倍だった。
いま、生身の気持ちのぶつかり合いは疎まれる。面倒だから。パパやママさえ子を怒らなくなった。何が起きても、いいよ、いいよ。いわんやオジサン、オバサンをや。見知らぬ子にちょっとでも口出しして泣かれた日にゃ、どんな陰口を叩かれるかわかったもんじゃない。
子どもたちから喜怒哀楽が薄れてゆく。
子どもたちが恐れ、畏れる存在。剝き出しの感情をぶつけ、感情の起伏を教えてくれる、お化けのような、モンスターのような大人が、いなくなってしまったから。
モンスターが恋しい。
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