怖いモノ見たさ
聞く耳を持たない。すぐキレる。一方的に怒鳴り散らす。対話して問題を解決しようなんて気なんて、さらさらない。
怖い人、あるある。
近寄り難いし、そもそも近寄りたくない。できれば、そんな人とは接点を持たずに生きてゆきたい。
そうは問屋が卸さない。
あの怖い人に今日も怒鳴られた。明日もあの人と一緒なんだよな、嫌だな……。
くよくよ悩んでいると、どこからか、張り子の虎がやって来た。
「あなたみたいな人を助けるため、ボクはこの世にいるのさ。怖い人に会う前は、ボクのことを思い出してね」
怖い人ほど、中身はない、薄っぺらい。それを隠すため、虚勢を張ってるだけ。
身に覚えのない理不尽な怒りをぶつけられたら、張り子の虎を思い出せ。
怒髪天を突くその人の向こうに、コトコトと首を振る小さな虎が見える。
カワイイもんだ。
#短編小説 #ショートショート #詩 #エッセイ #弱いモノ見たさ #怖いモノ見たさ #張り子の虎 #400文字のショートストーリー