不要不急
「不要不急の外出は控えていただきたい!」
一国のリーダーは今日も声高に叫ぶ。
叫ぶだけで暮らし向きは改善されぬまま。
民衆は気づき始めた。
おかしくないか?
本当の不要不急って何だ?
そうだ、税金だ。
税金を払うことだ!
あれだけの大金はどこに消えているのか。
もう、政治家や役人に裏切られるのは御免だ!
民衆は一斉に納税を放棄した。浮いたお金をお世話になってきたお店に還元したり、近所の病院や学校の支援に回した。
自分たちのことは自分たちで決める。義務と責任が芽生え、日々の生活は持ち直した。
「やめてくれ~!」
男は叫び、フカフカのベッドから跳び起きた。
それが現実ではなく、ただ悪夢にうなされていただけだと気づくと、ほっと息をついてフカフカのソファへ。
紅茶を一口、ふと本音がもれる。
「本当の不要不急が何なのか民衆にバレたら、この優雅な暮らしが失われてしまうじゃないか!」
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