Long Night
午前3時に目の覚めてしまう夜がある。
眠いのに、眠れない。疲れは抜けないままなのに、頭の中だけが、どんどん冴えてゆく。
眠らなきゃ、眠らなきゃ。強迫観念に駆られるように、目をつぶる。眠れないまま、時間だけが過ぎてゆく。
いつもなら、そうだ。
でも、今夜は違う。
こんな夜もあるさ。
真っ暗な天井を見つめながら、頭の中を空っぽにして、ただ、ぼーっとしてみる。
ふと、いまは亡きおじいちゃんやおばあちゃんの顔を思い出す。ふと、小学校の遠足の思い出が甦る。それが夢なのか否か、自分は起きたままなのか、再び眠りに落ちたのか、やがて区別がつかなくなる。
夜は不思議な時間だ。
不思議な時間に、身を委ねる。そんな夜が、あっていい。
それは、全身のネジが緩んでいくような、人生の大切な余白。
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