法人契約の賃貸物件の原状回復、敷金(保証金)精算で少額訴訟を起こして勝訴した話
法人の敷金の返還請求の少額訴訟を東京簡易裁判所に起こして勝訴したので、その経緯についてまとめました。
ちなみに、管理会社から言われた精算額は、床カーペット撤去、ドア塗り替え、ビニルクロス撤去、張替えなどで「これ、わざとピッタリに計算したのでは!?」と疑うくらい敷金とほぼ同じ額。
正確にいうと約900円しか戻ってこないはずでしたが
少額訴訟での勝訴によって58万円に増えました。
訴訟にかかった費用は1万円ちょっとで、また勝訴したため
相手に請求できたので、実質の持ち出しは2,000円くらいで済んでます。
法人契約の敷金の返金は誰に相談しても「無理だよ」「法人なら返ってこないよ」と言われた内容だったけれど、やって本当に良かったと思います。
ちなみに
「本件賃貸契約に原状回復の覚書があることが認められるものの、本件は、現状回復の覚書をそのまま適用するのは相当ではない」
と判決文に書かれており、法人契約でガチガチに契約書に原状回復の内容が縛ってあったとしても、実際にここに覆せた人がいます、ということでこのnoteを書いてみようと思い立ちました。
同様の判断をされるには、訴状の内容が非常に大事になってくるので、具体的に知りたい方は後半の有料部分を読んでみてください。
ぶっちゃけ、コロナ禍の影響で散々な今の時期の58万円。ほんっっっとに助かりました。
訴えて良かった、というと返金額が増えることになってしまった管理会社には申し訳ないですが、借りた方の立場としてはあの時諦めて泣き寝入りしなくて良かったです。
この記事は
・引っ越しで少しでもお金を取り返したい人
・法人契約の物件の解約時に少しでも返ってきて欲しいと考えている人
・個人契約でも法人でも、60万円以下でも良いから敷金が返ってきて欲しいと考えている人
・SOHOで借りている人
・オフィスビルの敷金の返還は無理だと思っているけれど、少しでも取り返したい人
などに向いている内容だと思います。
■そもそもの経緯
コロナ禍の影響もありそれまで借りていた事務所を解約して家賃の安いところに引っ越すことになりました(取引先が中国が多かったため、実は日本での影響より早めに大変なことになってました)。
そういう状況なので、敷金の精算時に少しでも多く戻ってきて欲しい……と思ったのですが、管理会社から上がってきた「現状回復費用」の見積もりによると、返還額は約900円。
借りていたのは雑居ビルで、SOHOではなくオフィス専用として。
家賃は約17万円。敷金は半年分だったので最初に預けた敷金は約100万円。
100万円が900円……全額返ってくるとは思っていませんでしたが、「さすがに少なすぎじゃないか!」と思ってしまいました。
ちなみに、途中でSNSに投稿したところ様々な意見を何件か頂きました。
「契約書に書いてあったら絶対無理、返ってくる訳がない」という意見
が多かったし、個人の場合は「東京ルール」と言われるものを主張できますが、問題となったのは法人契約であった点でした。
「法人だと現状回復に敷金より高い金額を請求されることも多い」という意見も。
むしろ、追加で払わなくて済むなら良い方だとも言われました。
が、けっこう諦め悪いんです私。
少額訴訟なら訴訟にかかる費用は1万円ほど。そして、何せ売上が落ちていて暇で時間だけはあります。
これで少しでもお金になるなら、やってみようじゃないかと。
そう思って、簡易裁判所に行ってみたのがきっかけでした。
ちなみに、少額訴訟で訴えを起こせる金額は60万円が上限で、それ以上は簡易裁判所での訴訟になります(140万円までは少額訴訟ではないけれど同じ簡易裁判所での扱い、それ以上は地方裁判所での訴訟になります)。この金額なので、弁護士や行政書士の先生にはお願いすることなく、全部自分で証拠集めから訴状の作成、答弁、その後の請求のやり取りまでやりました。
途中で書類提出の面倒さに腰が重くなったこともあるし、ダメ元とはいえ訴えてダメだったときは「こんな内容で訴えるなんて馬鹿なの?」と鼻で笑われたら余計ダメージを受けそうなのでそのまま放置するか悩んだときもありました。
が、しかし、
結局のところ想像以上に敷金が戻ってくることになり
「無理なんだと簡単に諦めなくてよかった」という結果になりました。
■知っておくと有利なこと
裁判の傍聴が一般の人でも出来るというのは知られていると思うのですが、
少額訴訟も傍聴できます。特に、予約や書類なども要らず現地に行って開始時間に合わせて入場するだけです。お金もかかりません。手間はかかってしまいますが、少額訴訟の当日の流れや、どんな雰囲気になるのかを知っておくと当日緊張せずに話せるというのは大きいのではないでしょうか。
ネットで事前に確認して選んで行くことが出来ないのはちょっと不便ですが、敷金の訴訟はよくあることなので毎日、必ず何件か行われていました。
私はそれを聞いて、どんなところが争点になるか、調停員の方が何を判断にするかを参考にするために傍聴に行きました。そして、それを参考に作戦を考えた結果、返還額900円が58万円になったのです。
少額訴訟に関しては、提出する窓口には係員の人がいて、親切に書き方を教えてもらえるので、全く分からなくても行けばどうにかなります。ただ、「これが勝てる証拠」というのは教えてもらえないし、さすがに他人の裁判の傍聴でそれを見ることは不可能なので訴状の内容は自分で考えないといけないんですよね。
で、それをしっかり作り込まないと契約書に記載されている内容に負けちゃう可能性が高いです。
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