生粋のサザンファンの目線から語る、『音楽劇「クラウディア」』のすごさ
初めて舞台を見に行きました。
なんの前知識もなく「見に行かなきゃいけない気がする…」という謎の使命感でチケットを取った、音楽劇「クラウディア」。
サザンオールスターズが好き、クラウディア役の田村芽実さん(以下、めいめい)が好き、それだけで見にいくことを決めたのですが、本当に心が持っていかれたので、ここに感想を残しておきたい。
Twitterで感想を見ていたところ、サザンファンの方は意外に少なかったのかな?と感じまして。(Twitterやってないだけ?)
ということで、主にサザンファンの目線からお話ししたいと思います。
まず、昨日、7月22日(金)までコロナウイルスの影響で公演中止、今日から再開し、見ることができたのは本当にラッキーでした。
細亜羅役の甲斐翔真さんがおっしゃっていたとおり、「ミュージカルの神様」がついていたのだと思います(7月23日昼公演のカーテンコールにてお話しされていました)。よかった!
明日、7月24日(日)が東京公演千秋楽で、7月29日(金)からは、大阪公演も予定されています。各キャストのファンも、サザンオールスターズのファンも、絶対楽しめるはず……!
ここからは、ネタバレが少しありますので、読みたくない方はスルーをしてくださいね。
※あくまで解釈は個人の見解なので、ご容赦ください。
「クラウディア」ストーリー
物語の中では、根國と幹國は対立し、愛を禁じられているため、この世界の人たちは概念としての「愛」しか知らないのです。
そんななか、根國一の剣豪「細亜羅」と、幹國の歌姫「クラウディア」が国を超えて、禁断の愛を育んでいきます。
ストーリーを彩っているのが、サザンオールスターズ(以下、サザン)の楽曲たち。
歌詞に違和感を感じるのでは?と思っていたのですが、まったくそんなことはなく。キャストの歌声で生まれ変わる楽曲たちに、思わず涙が出て止まらなくなりました。
サザンオールスターズ楽曲の解釈がすごい
長年のサザンファンである私。使用された楽曲はすべて知っているのですが、この曲をこう使うか! と思わず唸ってしまいました。
たとえば「闘う戦士たちへ愛を込めて」。
映画『空飛ぶタイヤ』でのタイアップと、MVの先入観から、社会での闘いや現代社会の闇に迫った1曲、と認識していました。
が、「クラウディア」では、人間同士の闘いに明け暮れる人々の憂いを描く曲へと昇華。
物語と合わせて聞くと、役者さんたちの表現力も相まって、全然印象が違います。
歌詞の要所要所がピタリとハマり、争いのやるせなさを感じる仕上がりに。
最後のこの歌詞が、人々の闘いを見つめ続けている「龍の子」の立場とリンクしているのも見事でした。
独自の解釈で、楽曲の新しい一面を発見。改めて聞き返したくなりました。
場面ごとにぴったりの曲が存在する、サザンの楽曲の幅広さ
ファンの方はご存知かもしれませんが「愛の言霊〜Spritual Message〜」は、桑田節が炸裂した1曲です。
全体的には言葉遊びが効いている楽曲ですが、終盤のラップパートはメッセージ性が強い。この曲が、非常によかった!
物語の場面にぴったりな上、竜の子を演じていた神原泰佑さんの歌声と表現で、説得力が増していました。
身体の動きがもはや人間ならざるものでしたね。役者さんってすごい……!
また、サザン屈指の人気ナンバー「真夏の果実」も使われています。
「マイナス100度の太陽」が刺さります。
こんな言い回し、桑田さんにしかできない……。
この歌詞も、一目会うことすらなかなか叶わない細亜羅とクラウディアの関係性と重なって、普段以上に沁みるものがありました。
「愛の言霊〜Spiritual Message〜」で自分とは?命とは?を問い、「真夏の果実」で愛を歌う。はあ、シビれます。
また、殺陣シーンも多いこの作品。
「怪物君の空」や「イエローマン〜星の王子様」が、あまりにぴったりで驚きました。剣がぶつかりあう音、雷の音、それすら楽曲の一部ですか?と思ってしまうぐらい。
「解禁祭」でまぐわうイメージで使われた「汚れた台所」も、掟に抗うことなく流されていく人々、という感じがしてよかった。
バラード、ロック、テクノサウンド、etc……。
そのときどきの流行や海外のサウンドを敏感に取り入れてきた、サザンならではの楽曲の幅広さに、改めて感嘆!
サザンというバンドのカラーも反映されている?
この舞台、サザンのバンドとしてのカラーもかなり反映されているのでは? と感じます。(それとも、地球ゴージャスさん、普段からこんな感じなのかな?)
デビュー当初は、コミックバンドとしての印象が強かったサザン(アラサー世代の私は「TSUNAMI」の爆発的ヒットを知っているので、実感がないのですが)。
今でもライブは、コミカルおふざけ要素が強めで、三枚目っぽい。
この舞台も「反戦」が一つのテーマである一方で、コメディパートもちょこちょこ入ります。脇役の1人、小池がものすごくいい仕事をしていた!
真面目なときは真面目に、ふざけるときはとことんふざける。
うん、まさに、サザンじゃないか! サザンファンとしてはとてもうれしいことです。
余談ですが、前半の毘子蔵はかなりコミカルキャラでした。何にも考えてない感があって、飄々としていて好きになりました……後半の織愛とのやりとりのギャップで、またグッときましたね。
めいめいは、まさしく18歳のクラウディアだった
サザンファンにとっては余談になってしまうかもしれませんが、私の推しの田村芽実さん(以下、めいめい)についても少し語らせてほしい。
今回、クラウディアを演じていためいめい。(クラウディアはWキャストで、もう1人は門山葉子さん)
めいめいの憧れの存在が、本田美奈子.さんなのですが……なんと初演で「クラウディア」を演じたのは美奈子さん!
憧れの人の後を引き継ぐプレッシャーもあっただろうに、めいめいワールド全開で演じきってくれました(推しになると急に語彙力失うオタク)。
めいめいの、気持ちがはやって抑えきれない、まくしたてるような演技が好きなのだけど、今回も健在。
18歳のクラウディアの無邪気さや純粋さ、芯の強さを、これでもと見せつけられました。ラストシーンでは、透き通る歌声に号泣でした……。
カーテンコールでは、アイドル時代と変わらない無邪気な姿でギャップ萌え!
この時代だから、ぜひ見てほしい
今回の復活にあたり、2004年にはまだ発表されていなかった楽曲「蛍」「東京VICTORY」などが、追加されています。
もともと社会風刺っぽい楽曲も発表していたサザンでしたが、2000年以降の楽曲はその傾向が強まった気がします。
近年の楽曲が追加されたためか、先述の「闘う戦士たちへ愛を込めて」をはじめ、歌詞の世界観とストーリーが絶妙にリンクしていた印象でした。
舞台は、現代よりもずっと未来。核戦争なのかな、争いで、人類は滅亡寸前に。
その後、この世界を作った神親殿は、争いをなくすために、この世界から「愛」を無くした。争いの火種になりかねないから、と。
「愛」が禁じられた世界。
それなのに、どこか今の世界を感じるところがありました。
18歳になると、子どもを宿す「解禁祭」という儀式に、否応なく参加させられる。生まれた段階で親と離されるから子どもたちはみな親を知らない。銃弾は禁忌とされている。などなど。
今の世界情勢や、少子化が進んだ未来を考えてしまいましたね……。
舞台を見ているうちに、だんだん虚構と現実のあわいが溶けていく感覚を味わいました。
引き込まれて、終了後も舞台の世界と現実世界を頭の中で行ったり来たりでした。
サザンは「愛」を歌うバンドだ!
サザンの楽曲は、普段から聞いているのですが、舞台になったことでさらにたくさんの愛を届けてくれました。(そして、今もプレイリストを作り、聞いている)
「東京VICTORY」では、手拍子が巻き起こり、カーテンコールでは、観客全員スタンディングオベーション。会場との一体感も、舞台を初めて見た私にはとても新鮮でした。
たまたま目に止まって、行くことを決めた私、ありがとう。そして、キャストやスタッフのみなさん、本当にありがとうございました!かけがえのない3時間になりました。
もうしばらく興奮がおさまりそうにありません……。
ここまで読んでいただいた根気強いあなた、ありがとうございました! 永遠なる真心をあなたにも。
お礼にプレイリストを共有いたします。
ちなみに、東京公演が中止になったことを受け、配信公演も7月28日(木)まで行っているようですので、気になる方はこちらをチェックしてみてください!(権利上の理由で、円盤化はないそうです)
ぜひサポートいただけると嬉しいです。いただいたサポートは、カメラレンズの購入に充てようと思います☺︎