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セルビアの民族音楽と舞踊③ヴラニェ

1.ヴラニェについて

ヴラニェはセルビアの南東に位置する街です。

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ヴラニェは400年以上トルコの支配下にあり
その間に沢山のトルコ人がヴラニェに移住しました。

ヴラニェの商人はトルコ語やアラビア語を話し
積極的に商売をしました

現在のヴラニェにも、トルコの公衆浴場

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By JustUser - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=29568514

パシャの別荘などがあり

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By Djordje Stakić - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=35539765

トルコ人が生活した跡が見られます。

ヴラニェの民族衣装にもトルコの影響が色濃く見られます。

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By Petar Milošević - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15602369

ズボンの形も特徴的です。
セルビアの民族衣装で女性がズボンをはくのは
ヴラニェだけです。

また、ズボン・ベスト・スカーフ全て金色です。
このように金色を多用するのもヴラニェの特徴です。

2.ヴラニェの音楽

ヴラニェの音楽や舞踊も、トルコの影響が強いです。

例えばこんな民謡があります。

【Otvori mi belo Lence (Traditional)】

メロディー絡みつくような感じ
いかにも「オリエンタル」な雰囲気です。

ヴラニェ音楽のリズム
4分の2拍子の他に
8分の7拍子8分の9拍子などの
変拍子の曲が多いです。

変拍子の曲は同じくオスマン帝国統治下の
マケドニアやブルガリアでも多く見られます。

ちなみに8分の7拍子は
「1・2・3~7」と数えるのではなく
「1・2・3、1・2、1・2」と数えます。
最初の拍が長い3拍子みたいな感じです。

また、ヴラニェ独自の民族音楽に
チョチェックがあります。
チョチェックは速い8分の9拍子のことです。
例えばこんな曲があります。

【Pesma iz Vranja (Traditional)】

8分の9拍子も
「1・2・3~9」と数えるのではなく
「1・2、1・2、1・2、1・2・3」と数えます。

3.ヴラニェの舞踊

ヴラニェの民族舞踊では男性と女性が
常に別々に踊ります

これはセルビアではヴラニェだけの特徴です。

女性が男性を誘うような扇情的な振り付けも多く
腰を使った踊りがあるのはヴラニェだけです。

また、ダンサー同士が手をつながず
個人で踊ることが、とても多いです。

セルビアの他の地方のダンスでは
隣の人と手や腕をつなぐか
カップルで踊ることがほとんどなので
ヴラニェの舞踊はかなり異質です。

また手を繋いでいないので
上半身の動きを見せる振り付けが多いです。
女性はタンバリンスカーフを使って踊ります。

では、実際の踊りをご覧ください。

速い8分の9拍子のチョチェックは7分12秒目からです。

このチョチェック、上半身の派手な動きに目が行きますが
実は足のステップもとても難しいです。
速いリズムに合わせて小刻みにステップを踏んでいます。


始めから読む:セルビアの民族音楽と舞踊①


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