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音楽で訴える、今とこれからを生きる人々へのメッセージーMORISAKI WIN『Don't Boo!ドンブラザーズ』とt-Ace『キラキラ忘レテ』が描く世界

今回は、7/23(土)・7/24(日)に茨城県ひたちなか市国営ひたち海浜公園にて実施されたLuckyFM Green Festival(通称:LuckyFes)に参加して感じたことを、エッセイという形でお届けします。

※7/23(土)のライブレポートはこちらからどうぞ!


7/24(日)のLuckyFesでどうしても見たいアーティストが2人いた。

MORISAKI WIN(※俳優として活躍中の森崎ウィンが音楽活動を行う時の名義)とt-Aceである。

森崎は今期戦隊シリーズ『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の主題歌を担当している。今回のフェスでドンブラザーズ主題歌を披露予定であることが森崎のオフィシャルTwitterにて告知された。LuckyFesは「ファミリー」をテーマの1つに掲げていて、個人的には今回MORISAKI WINほどそのテーマに相応しいアーティストはいないと思った。森崎がファミリー、特に子どもに向けてドンブラザーズ主題歌を歌うところをどうしても見てみたかった。

また、t-Aceは茨城県が、水戸市が生んだヒップホップスターだ。そんな彼が地元で行われる大型フェスで、しかもGREEN STAGEのトリとしてどんなパフォーマンスをするのか、何を語るのかをしっかり確認しておきたかった。

そんな思いで24日のLuckyFesに臨んだ。

そして、LuckyFesが終了した後、2人が披露したある曲同士に大切な共通点があることに気づいた。それがMORISAKI WINの『Don't Boo!ドンブラザーズ』とt-Aceの『キラキラ忘レテ』だ。

①安易な誹謗中傷や非難のない世界


この2曲では、安易に人格や個性を否定しない、誹謗中傷や非難のない「ハッピーな」世界が描かれている。

「チガイはマチガイじゃない」
「楽しもうぜ Don’t BooでHappyなパーリータイム!!」

ー『Don't Boo!ドンブラザーズ』より

「boo」は「ブーイング」の元になっている動詞で、そのまま「野次る・ブーイングする」などの意味だ。「ドンブ」ラザーズと掛けているのも、言葉遊びとして見事だ。

「世間はくだらねえ事ばっか気にして
  キラキラ忘れて老けていく」
「地方でおきるひでぇ差別」
「また人の事ばっか なんたら警察
  ヒマかよ?ホントに気持ち悪いな」
「んなバカはほっとき遊ぼうぜ
  夜は女の子達と踊ろって?」

ー『キラキラ忘レテ』より

さらに『キラキラ忘レテ』ではSNSでの誹謗中傷による自殺が起きた事件にも踏み込んでいる。

t-AceはMCで「みんなが遊んで笑うことが一番大事」と語っていた。そのためには皆が「キラキラ」を思い出して、誹謗中傷する気持ちを自ら捨て去ること。『キラキラ忘レテ』のMVのラストではまさに「Don’t BooでHappyなパーリータイム」が描かれていた。

②夢を追うことの大切さ


さらにt-AceはMCで夢を追うことの大切さを述べていた。「夢は絶対に叶う」といった、ある意味で無責任なセリフではなく、「夢なんて叶わないことの方が圧倒的であって、叶わなかったことは一つの結果だから仕方がない。やろうとしてることがあったら、叶う叶わないは別としてやったほうがいいと思う」と語っていた。それは水戸で学生の頃、ミュージシャンになるという夢を1人以外の教師達に無理だと否定され続け、それでも紆余曲折ありながら様々な夢を叶えてきたt-Aceが語るからこその説得力があった。「同窓会で、俺は何億も稼いで(先生達の)給料以上の納税をしてる。(夢を追うことを)やめろとか言うの、やめた方がいいよって言ってやった」とも語っていた。

そんなt-Aceが『キラキラ忘レテ』で表現したメッセージが

「叶わねえと勝手に決めつけ
  諦めとかダッセーぜ」

ー『キラキラ忘レテ』より

である。

一方『Don't Boo!ドンブラザーズ』では

「DON!DON!いいとこどり!
  言い訳は粋じゃないぜブラザー」
「DON!DON!トライしようぜ!
  転んだって起き上がればいい
  悩みなんてフッ飛ばして
  つき進め!挑め!行こうぜGo my way!」

ー『Don't Boo!ドンブラザーズ』より

と書かれている。「ダッセーぜ」「粋じゃないぜ」は否定的な表現にも関わらず、とても温かみを感じる。どちらの歌詞も、夢を追うことに対して背中を押してくれているようだ。

正直、2つの曲のような一種の応援歌やメッセージソングは数多ある。しかし、いつどこでどんなタイミングでそのような曲に出会うか分からないのだ。私にとっては、あの日にこの2曲が聴けたことが何よりも大きかった。

この2曲を「フェス」という場で聴けたことで、私も思ったことを言葉にすることにもう一度しっかりとチャレンジしようと思った。

t-Aceが発した「地元でこんなフェスができて嬉しい」「自分が住んでる場所を楽しくするのは自分次第」というメッセージが、たくさんの人を熱狂させているパフォーマンスが、t-Aceが「茨城の人どれくらいいるの?」という呼びかけの時に手をまっすぐ上に伸ばしながらその場でぴょんぴょんジャンプしていた子どもたちに届いているとよいなと心から思った。この景色が、この日の思い出が、t-Aceの姿が、その子どもたちの郷土愛を育むのではないのかとも思った。一方、MORISAKI WINは白のシャツの上に赤いジャケットを羽織り、黒のパンツという衣装でステージに臨んでいた。おそらくドンモモタロウを意識してくれていたのだろう。ドンブラザーズメドレー披露時は、真剣に観客を見据えて歌っていたように思う。そんな森崎を見て、勇気をもらえる方がたくさんいたら嬉しいと思った。VUCAと言われる、今後何が起こるか分からない世の中で生きていくにあたって、このような曲は非常に大切な存在なのではないだろうか。


7/24(日)のLuckyFesでこの2人のパフォーマンスが見れて、本当によかったと心から思う。


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