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「バチバチ」相撲はジジババの娯楽だと思っていた私が、その美しさに魅せられた最高傑作。
noteの企画に初めて参加します。
なぜなら漫画が好きだから…
三度の飯より漫画好き、どうも私です。
漫画好きでも苦手なジャンルは人それぞれ
ジャンプ系の王道はもちろん、ギャグも恋愛も日常系も青年漫画もジャンル問わず読むので、好きな漫画を3つあげてくれと言われても無理です。
10個ならなんとか…絞れるかも…
そんな私ですが、あまり手を出さないジャンルがあります。
それが、スポーツ、ヤンキーです。
絵柄が好きな感じじゃなものが多いのも理由です。
しかし私は知っている、その中に名作が隠れていることを。
ということで今回は相撲漫画の「バチバチ」を読んでみました!
相撲の世界はさも美しく
「バチバチ」は佐藤タカヒロ先生の作品。
第一印象は、「あんまり好きじゃない」でした。
スポーツ×ヤンキーに加え、そんなに好きではない絵柄。
▼あらすじ
かつて大関まで上り詰めた父親が暴力事件により角界を追い出され堕落したのち亡くなってしまう。地元でも有名な不良に育った主人公は、あるきっかけで相撲界に飛び込む。ソップと呼ばれる小さな身体で、仲間と共に頂点を目指していく物語!
主人公の鮫島鯉太郎、最初はそんなに好きになれないんです。
だってヤンキーだし、口悪いし、人殴るし。
ヤンキーはとにかくきらい。
ただ、相撲部屋に入って良い師匠、仲間に出会い、家族の大切さに気付いて頑張る姿が…美しい。
物語の本筋は「強くなりたい」ただそれだけ。
ひたすらに父親が見た光輝く世界を、自分にしか見えない景色を、高みを目指して頑張る鯉太郎。
鯉太郎を好きになるのは、あっという間です。
ただの太った人達だと思っていた相撲取りは、その稽古や食生活を垣間見るうちに、鎧を身に着けた戦士だと気付きます。
ただの押し合いだと思っていた相撲は、己の信念のぶつかり合いであり、それが日本古来の神事であったことを思い出します。
分かりやすい対立構造
スポーツ漫画には絶対必要なライバルですが、
相撲という特殊なスポーツは、己が一番の敵のようです。
部屋が違っても同期は同じ訓練所で汗を流したりするので、
横のつながりがとても強く重要になります。
鯉太郎の同期たちもそれぞれ良いキャラで、
ぶつかったり慣れ合ったりしながら共に成長していきます。
そんな中でも、卑劣な手を使い相手を陥れる絶対的悪のキャラが出てきて、読者の全憎しみを受け止めます。
悪者にも悲しい背景がある、という今どき漫画のセオリーは完全無視。
心の底から憎い悪を描き、めたくそに打ちのめした時の爽快感を演出しています。
絶対的神という存在の横綱の描き方も素晴らしい。
常人では到達できない孤独な心理が心に突き刺さります。
人間としての成長に涙する
「バチバチ」は鯉太郎の成長ターンに合わせてタイトルが変わっていきます。
「バチバチBURST」では兄弟子となった鯉太郎の力士としてのさらなる成長が描かれます。
人に裏切られても貶められても、信念を曲げない鯉太郎と、それを支える同部屋の親方や兄弟子たち。
相撲部屋に入門すると、家族になるんですね。
親方のことも「おやじ」と呼ぶ。
小さな相撲部屋だと、寝る時まで兄弟弟子と同じ部屋。
その絆に、毎度泣かされました。
最終回まで突っ走る…はずが
そしてはじまる最終章「鮫島、最後の十五日」
スラムダンクのように、一戦一戦丁寧に描かれていきます。
最後の、とついているのでこの章で鯉太郎の何がしかの区切りがつくんだろう、とは思っていました。
流れとしては、再起不能な怪我を負うまで戦うとか、横綱に挑戦してけちょんけちょんにされるとか。
しかし、まだクライマックスにも到達していない道半ばで…
これはネタバレでも何でもないですが、読む前に知らなくていいことだと思うのでここに書くのはやめます。
とにかく、相撲の美しさに気付かせてくれた素晴らしい漫画でした!
今はコロナの影響で全場所が中止になっていて残念ですね。
いつか両国国技館にも行ってみたいです。