ファッション用語、抜け感とは何ぞや? を解説
ティーン誌からアラフィフ誌、メンズ、レディス向け問わず、ファッション誌やWebマガジンでとにかく出てくる抜け感という言葉。分かったような分からないような、まあいっかと今まで流し読みしてたそこの貴方! 発信する側が本当は何を伝えたいのかを知っておくと、なかなかいいですよ。
抜けは便利なキラーワード。
そもそもなぜ抜けを使うのか。雑誌の中の説明を少ししますね。
雑誌には厳密な文字制限があります。容量オーバーのまま入稿すると、容赦なく印刷所からアフレマークであるイエローラインの入ったレイアウトが上がってきます。
その制限ある文字数の中に、いかに言いたいことを詰め込むかがライターの腕の見せ所でもあり、それを調整するのが編集の仕事の1つです。
例えば、ほとんどの人が読み飛ばすであろう、洋服のクレジットなどが書いてある部分をご存知ですか? そこはキャプションとかキャプクレとか言います。
このキャプクレの中に、モデルが着用している物全ての値段とブランド名などを入れ、さらに補足として着こなしやポイントが書かれています。
編集が決めた文字数制限の中で、クレジットの長さと闘いながら伝える文字を書く際、便利な単語の1つが、抜けなんです。
文字数がない、けれどこのコーデを何とか端的に伝えたい! という思いが、抜けという2文字に現れています。
ちなみに、同列立場で使われる他の単語や記号は、こなれ、◎、!などの文字数の少ないもの。決して雰囲気だけで書いてるわけではないんです。ただ、個人的にはライターからの原稿に、抜けやこなれと書いてあったら修正してしまいます。だってやっぱり分かりにくいんだもん。
抜け、とは外すテクニックのこと。
前置きが長くなりました。さて、抜けとは何か?それは外しです。完璧なスタイルを少しだけ崩す、想定内のコーデに違うものを当てこむ、ゆるさを持たせるなど幅広い意味があります。
昨今のカジュアルからのリラクシーへのトレンドを踏まえて、引き続き、この抜け感はコーデに必要なテクニックです。スタイリストも、どこかに抜けのあるコーデを考えて、今っぽさを出しています。
ではどういうスタイルが抜け感なの?
実は、シーズンごとに抜けの意味が変わります。
少し前なら、シャツの襟の後ろを少し引っ張ったような着こなしや、デニムを無造作に細く折るスタイル。
今季なら例えば。
シアーなロング丈スカート。裾まで裏地を用いず、少し透け感のある素材だけを残すものを選んで足首をうっすらと見せる。そうするとロング丈でも重見えしない、その透け部分が抜け感。
ワンピースの着こなし。ヒールのパンプスではなく、フラットシューズを合わせ、カジュアルダウンすることでがんばりすぎない見た目になる。その気張らない部分が抜け感。
ジャケットやアウターに袖を通さない着こなし。キチッとしすぎずカジュアルな着こなしの見せ方で雰囲気よく見せるテクニック。そこが抜け感。
などなどキリなく出てきます。それらを逐一説明をするとこんなに長くなります。
オシャレな人なら、ああ、そこ抜けてるね、と感覚で分かるかも知れませんが、普通の感覚だと何となく捉えにくいですよね。ファッションには、様々なロジックがあるんです。
今の雰囲気を作るスパイスが抜け感。
モードなスタイルではない限り、普段のコーデだけで鮮度よく見せることは限度があります。
なので、安心できるいつものスタイルに少しの崩し、少しの違和感で新しさを入れ込む技が、抜けとなります。
すなわち抜けとはアカヌケ感。
抜けを入れたり、取り入れたりすることは難しくありません。 1アクションでできます。現場にいればすぐに分かる簡単なことなのに、ただ、それを言葉で伝えると、前文のようにくどくどとした長文になり、誌面が文字だらけになってしまいます。それをどうにかできないとのかと、ずっと感じていました。
とびきりオシャレにならなくても、ひと手間やちょっとの知識で、ぐんと見栄えるテクニックや選び方が分かれば、少し得した気分になりますよね。
今日の自分、ちょっとイイから始めよう。
ミラーを見た時、うん、何かいいな、と思うことは自己肯定です。そしてもっとよくしたいなと考え始める、ここからがスタートです。
ファッションはすぐに成果の出る簡単な自己への投資なんです。
自分に自信がつくと、次にやりたいことや目標、叶えたいことへのアクションへと繋がります。目標の成果を実感するには手間と時間がかかります。その点、ファッションはアクションすればすぐ成果が出るのがいいトコロ。
自分を変えられるのは自分だけです。まずはファッションから試してみるのも面白いんじゃないの?! と思って日々 1アクションを綴っています。