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廓の夢
はじめに
こんにちは!今晩はNHK大河ドラマ『べらぼう』の第4回放送日となりました。前回は蔦屋重三郎が吉原の花魁を投げ入れの花に見立てるという粋なアイディアが詰まった吉原細見が完成しましたね。どの花もとても美しかったです。
また、旦那衆がお茶を点てるシーンがあり、吉原の人々が普段からお茶を楽しんでいたことが分かりました。
昨年の茶会とお菓子『廓の夢』
昨年の9月に吉原で茶会を開かせていただきました。お茶の先生にお願いし、素晴らしい設えとお点前を披露していただき、およそ80名ものお客様にお茶を召し上がっていただきました。茶会では踊りの衣裳を飾ったり、このような可愛らしいお菓子もご用意させていただきました。
このお菓子は、浅草寺御用達の「塩埜」さんに吉原をイメージして特別に作っていただいたものです。私は着物に蝶の柄を入れるのが好きなので、お菓子にも蝶を取り入れてみました。蝶の柄は立身出世の意味があるそうです。また、ピンクの丸い飾りは、前回のブログでお話しした「羽根の禿」という演目に登場する鞠をイメージしています。
吉原はかつて“不夜城”とも呼ばれていたそうですが、眠らない街で生きる吉原の女性たちは、どのような夢を見ていたのでしょう。その問いをお菓子で表現し、名前を「廓の夢」とさせていただきました。このお菓子の名前を考えるのには、とても時間がかかりましたが、その分、思い入れのある一品です。
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とっても美味しかったです。
長唄『傾城』が伝える吉原の情景
前々回のブログで、現在お稽古させていただいている長唄『傾城』についてお話ししました。この曲の中には、次のような歌詞があります。
「八重山吹を投げ入れの床(とこ)に差し込む朧月」
この曲は江戸時代に作曲されたものですが、この一節の中には、さまざまな情報が詰め込まれています。
歌詞が描いているのは、床の間に生けられた投げ入れの八重山吹に、朧月の光が差し込む情景です。この描写から、次のようなことが読み取れます。まず、傾城(花魁の最高位)は部屋を与えられ、その部屋には床の間があったということ。そして、そこには茶道の花の生け方である「投げ入れの花」が飾られていたこともわかります。さらに、八重山吹が咲く季節であることや、「朧月」という表現から春であったことも示されています。
たった一行の歌詞に、これほど多くの情報が込められているのは驚きです。そして、この情景を、踊る際にはお客様の脳裏に浮かぶように表現しなければなりません。
江戸時代の作曲・作詞家が描こうとした吉原の世界観は、このように長唄の歌詞に散りばめられています。数百年の時を経て、私たちはいま、この曲を稽古しながら踊りを通してその世界観を表現しています。この時空を超えた表現の重みを大切にしながら、一つ一つの作品を心を込めて踊っていきたいと思っています。
吉原クイズ
先週のクイズの答え:新造(しんぞ)
自分の部屋を持たず、姉女郎に付属する若い遊女のことです。歌舞伎にもよく出てきますね。
さて、今週も吉原にまつわるクイズです!
「八重山吹の花言葉はなんでしょう」
答えは次回の記事でお伝えします!
これからも、吉原での活動を通じて、日本舞踊の魅力や日本文化の素晴らしさを皆さんにお伝えしていきます。この文章が、吉原という特別な場所や文化に触れるきっかけとなれば幸いです。感想やコメントをぜひお寄せくださいね。次回もどうぞお楽しみに!
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