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ふわり

ふわり
ふわりと
わたしは飛んでいく

風の向くまま
気の向くままに

森の中を通って
お花たちの間をすり抜けて
甘い香りを嗅ぎながら

ふと
強い風が吹く

わたしはビューンと流されて
どこまでも飛んでいく


この匂いを
わたしは知っている

懐かしい
ほっとする匂い

海の香り

広い広い海
空はどこまでも青くて
一筋の雲がすーっと伸びていく

太陽さんに照らされて
波がきらきらと輝いている

ああ美しい
海はどこまでも広くて

どこまでもやさしい

砂の冷たさと
水の冷たさがせめぎ合う際で
わたしはそっと手を広げてみる

ぎゅっと握りしめていた手を
そっと

広がる手とともに
わたしの心も解けていく

深く息を吸い
肺にいっぱい空気をためて
深く吐き出す

最近はいつも
呼吸が浅くなっていたと気がつく

広げた手のひらに
ふわりと何かが乗った

それは
ふわふわとした白い羽根

この羽根をつかって

あなたはどこへでも行くことができる

どこまでも飛んでいくことができる

だってあなたの背中には
とてもとても大きな羽根があるのだから

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