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水上のクリスマス、ヴェネツィアのラグーンから
今月に入ってから、ヴェネツィアの友人・知人のSNSで、次々と写真がアップされ、とーっても気になっていた。
イタリアではクリスマス、つまり救世主イエスの誕生を祝うためのこの日を前に、教会から家庭まであらゆるところで、イエス・キリストの生誕場面を再現した人形を飾る。聖母マリアとヨセフ、誕生した幼子のベッド代わりに使われたかいば桶を除きこむ馬と牛、見守る天使、が最小限のセットだが、そこに参拝におとずれる羊飼い、宝物を携え訪れる東方の三王はもちろん、村で普通の生活を営む人々などが周りに配置されて、ちょっとしたジオラマを形成する。
クリスマスツリーももちろん飾るけれど、ツリーは、アメリカ経由で伝わった比較的新しい習慣で、より伝統的なのが「プレゼーぺ」または「プレゼピオ」と呼ばれるこの人形たち、ということになる。
ヴェネツィアのラグーンの中でも北部にあたる、ブラーノ島近くの水上に現れたプレゼーぺは、フランチェスコ・オラツィオさんというアーチストによる作品。水の上にひとつひとつ浮いている人形や馬小屋は、ベニア板に彩色で全60体、外側から見るだけではわからないけれど、ちゃんと浅瀬に設置されているそう。つまり船が通過できないところから、水上の交通事故に遭う心配もない。
朝日を受け夕焼けを臨み、青空に広がる雲でさえ、ただそのままで息を飲むほど美しいラグーナの冬の風景をバックに、神秘の場面の参加者たちが水上に佇む。この自然のラグーナは、日々刻々と水位を変える。水面が人形たちの足ギリギリのあたりになると、彼らが本当に水の上に浮いているように見えて、最も幻想的になる。
美しいプレゼーぺは、ヴァチカンの目にも止まり、総本山でも何か実現できないかとご本人に打診もあったとか。
教会で飾るプレゼーぺの場合、クリスマスの夜に生まれるはずの幼子キリストは最初から設置せずに、24日深夜のミサで恭しく運びこまれてくる。感染症対策で、深夜のミサが禁止された今年はおそらく、イタリア各地のイエス人形はちょっと早めに、定位置に降り立ったことだろう。
水の上に漂うブラーノのプレゼーぺでは・・・24日の夜に降り立つのは困難と判断したのだろうか、幼子は最初から定位置で安眠についていた模様。
写真も情報も全て、こちらのサイトから拝借しました。
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Fumie M. 12.25.2020