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「はるかなる視線〈1〉」 クロード・レヴィ=ストロース

三保元 訳  みすず書房

上下?あるのだけれど、読んだのはこの上巻のみ。下巻は手元にもない。

文化と遺伝

「人種と文化」(の途中)まで読んだ。文化相対主義について、この本では1956年に発表したユネスコの論文まで遡るという。

 文化は、異なるレールのうえを、異なる方向に、さまざまな速度で走る複数の列車のようなものである。
(p13)


下の文は進化心理学の文化的ニッチを思い出させる。

 文化が存在しはじめると、前文化的特徴を強化し伝播するのは文化自体である。
(p27)


(前文化的特徴とは生物学的な進化で獲得した特徴)
(2013 11/24)

 さて、文化は自然でも人工でもない。文化は遺伝学の領域に属するのではなく、理性的な思考に従属するのでもない。文化は行動規範で成り立っていて、発明されたわけではなく、規範に従うものにも普通はその機能がわからない。
(p50)


文化が遺伝的なものかどうかというテーマは、最近の自分のテーマでもあるからして…この成員にもわからない基層において、多様な文化の共通性が見られる、というのがレヴィ=ストロースの考え。

家族と社会


「はるかなる視線」から「家族」の部。

 ヒト社会では、新しい家族の創造には二つの家族がまえもって存在することが絶対条件としてあり、この二つの家族がそれぞれ男性、女性を供給して、その婚姻によって第三の家族が生まれ、その過程が無限に繰り返される。いいかえれば、ヒトが動物と異なる点は、人類では、まず社会が存在しなければ、家族が存在し得ない点である。
(p78)


こうして見ると、人類においての「家族が先か社会が先か」の答えは社会ということになろうか。でもこの後でレヴィ=ストロースは家族と社会が相反する関係でもあるという。社会の婚姻規則は家族の消滅と再生産のループを導き、その均衡が怪しくなると社会は崩壊に近づく。今の社会がまさにそれになってきている…と考えられるのか?

 社会における家族は、旅行における一時休止とおなじように、社会の条件であると同時にその否定でもあると言えよう。
(p90)


ちょっと旅行の喩えは自分にはまだピンと来てはいないのだけど…
(2013 12/02)

「はるかなる視線」の婚姻・親族関係に眠い中てこずっている(源氏物語や栄花物語とか中世日本と近代のマダガスカルなどとの比較とかしているんだけど…)
(2013 12/04)

神話の体系


「はるかなる視線」の構造主義と生態学から。

 一見大きく異なるようにみえる神話が、対称と反転の一定の規則に従う変形の過程から生まれていることを示している。
(p157)


というわけで、ここでは北アメリカブリティッシュコロンビア辺りの沿岸部、山側、そしてその接点に住む民族の神話が、上記の作用を受けて変形していることを解明する。構造主義って、先の婚姻・家族などではよくわかるのだけれど、神話ってのがいまいちピンと来なかったのだけれど…なるほどね。
後はこの部分の前にあるレヴィ=ストロースの対象に対しての謙虚さと、この部分の後にある外界認知に関しての考察と…
もうすぐこの本終わりだけど、こんな上っつらだけの読みで読み終えたとか言っていいのかな…
(2013 12/05)

「はるかなる視線1」を昨夜読み終えたのだが、展開されている元の議論がわかっていないから把握が難しい…いつか下巻合わせて読み直してみるか…
(2013 12/06)

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