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「アンティゴネー」 ソポクレース

中務哲郎 訳  岩波文庫  岩波書店

今日は「アンティゴネー」を。最初の中務氏のギリシャ演劇概要は読んでいく上でかなり役立つ。
(2015 03/16)

量子力学的アンティゴネー解釈


「アンティゴネー」昨夜読み終わり。とりあえず?3つに論点絞る。

1、ポリュネイケースの2度の埋葬。確かに2回ある必要性があるかと言えばないかもしれないけど、これによりクレモーンとアンティゴネーの対決が深まると考えれば…

2、アンティゴネーとポリュネイケースの近親相姦関係。この説は自分は賛成。これならゲーテが気に入らなかったという父母や子より兄を選ぶという科白(ヘロドトスとの関わり等「物語の海へ」参照)も納得だし、最初の設定以外に、同じ兄弟でテーバイを守った方のエテオクレースへの言及が全く見られない(劇進行上では必要ない)のも納得。そうそう、オイディプスの家系だもんね。

3、劇の途中まではいろいろな可能性と含みを持たせた曖昧な筋が、最後になって悲劇にまっしぐらに進んでいくのは、なんだか観測によって電子雲がただ一点に定まる(確率1)量子力学の様相。

ちなみに、ソフォクレス自身は生きるのに肯定的な女色も男色もござれ的な人だったらしい。

ちなみに(2度目)、この後、妹イスメーネーは逞しく?生きていったのだろうか? 誰か後日談でも書いてないかなあ?
(2015 03/19)

「クレオーンのための謎」

「サンティアゴへの回り道」ノーテボームより
バスクETAのテロリズムを、自爆テロの同志を埋葬するアンティゴネーと、それを禁止する国家クレオーンの対比として仮に当て嵌め、ヘーゲル、ブレヒト、シャルル・モーラス、デーブーリンなどの「アンティゴネー」解釈を援用してみる。これら解釈のうち後ろの二つは「じつはクレオーンの方が反逆者なのだ」と指摘する。

 ソフォクレスが示そうと企てたのは、神と人間の法から自由になろうと試みる暴君を罰することである。国家の没落を導入するのはクレオーンである。
(p241 「サンティアゴへの回り道」ノーテボーム)


この解釈は自分にとって説得力ある。ちょっとスペインとは離れるけど、この戯曲、実はクレオーンのための劇なのではなかろうか、という感じは少し持っていたから。
でも、この解釈もヘーゲルの上から見た正反合の弁証法も、スペインのクレオーンのためにはならない…
(2020 09/23)

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