「フェルディドゥルケ」 ヴィトルド・ゴンブローヴィッチ
米川和夫 訳 平凡社ライブラリー 平凡社
読みかけの棚から
読みかけポイント:実は、シュルツとセットの「世界の文学」で既に読んではいる。でも、たいした記録残ってないし、読み返したいので(それはシュルツも同様)…というわけで。
目次
フェルディドゥルケ
訳者あとがき
「世界の文学」版訳者解説
付録
ブエノスアイレス版序文
フェルディドゥルキストへの手紙
解説-非国民作家のエクソダス 西成彦
巻末エッセイ-不服従手引き 島田雅彦
「世界の文学」版訳者解説から
ゴンブローヴィッチ少年時代、戦争ごっこをやっていた時、上の階級で指揮官役のゴンブローヴィッチより下層階級の子の方が何かにつけてよくできたという。
第二次世界大戦直前、アルゼンチンに渡ったゴンブローヴィッチはそれから23年半その地で過ごす。1963年ヨーロッパ(ベルリン→パリ→プロヴァンス)へと移住する。この頃はアルゼンチン時代とは異なり既に名声を得ていたが、それが老境に入った彼には「ヨーロッパは、わたしにとって、死でしかなかった」(p496)という思いを抱かせることとなった。
「フェルディドゥルケ」について
3つの部分とそれを区切る2つの短編。この短編はいずれも作者が登場する前置きが付く。シンメトリカルな構成は、前作の悪評に対する反批判なのだという。3つの部分は、これまた同じパターン、相反する二つの理念・価値がせめぎ合い、最後に劣った側の意表攻撃でそれまでの均衡世界が崩される。「つら」は「形式」、人間と人間の間に作り上げられるもの…ジンメルの「形式」にも似ている?
(2021 07/11)