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「空襲警報」 コニー・ウィリス

大森望 訳  ハヤカワ文庫  早川書房

シリアスなコニー・ウィリス


今回は、コニー・ウィリス。前に見た「海外SFハンドブック」に紹介あって気になった作家の一人。その中から「空襲警報」購入。これは賞貰った短編を集めた短編集のうちの「シリアス編」。タイトルロールになっている「空襲警報」は元の邦訳「見張り」、この人のライフワーク「オックスフォード史学部シリーズ」第1作。

こっちはのちのち書いていくと思うので、「コメディ?編」の方の紹介を少し。「混沌ホテル」…女性の月経をテーマにした作品、インチキチャネラーの作品とかあるけど、自分的にはエミリー・ディキンソンが詩を書きつつ閉じこもり生活したのは火星人の侵略を知ったからだ、という新説を論文調にした短編が楽しそう。ウィリスのこだわりは他にもロンドン空襲やシェイクスピアなど。娘の名前はコーディーリア…
(2019  04/07)

コニー・ウィリス


…の「空襲警報」、昨日から読んでいる…と、言いたいところだけど、眠くて頭から内容が抜けていく…
とりあえず、「クリアリー家からの手紙」は読んだ。シカゴがなんらかの爆弾によって甚大な被害にあっている時に、そこからの手紙を取りに郵便局へ行く少女の一人称。これにコニー・ウィリス自身の作品雑誌投稿とその結果取得のための郵便局通いの思い出が重なって…

今は「空襲警報」(作品の方)読んでいる。長期記憶の取り出しに短期記憶がなんらかのキーの役割をしているという説が出てくるが、これは実際の理論にもなっているのかな?  後でも顔を出しそうなテーマだけど。
(2019  05/08)

クリアリー再読宿題。


コニー・ウィリス「クリアリー家からの手紙」。読み終わったとこの間ここに書いたけど、その後解説見たら、仕掛け大どんでん返しが仕組まれているらしい…眠い中無理やり流し込んだためもあり、全く気付いてないので、今度の休日再読の宿題。
(2019  05/09)

宿題。コニー・ウィリス「クリアリー家からの手紙」再読完了。
まあ、初読でわかっていたのは一割程度だったのね。解説読んで、なんで語り手14歳のリンがクリアリー家からの手紙を読んだのが「爆弾」だったのか全くわからなかったけど、シカゴに落ちた爆弾で無法地帯として荒廃した(注意深く(でもない?)読めば、山火事とか、車の走らない道路に切れた電線とか、いろいろ出てきている)世界、リンも兄のディヴィットにならず者と間違えられて撃ち殺されそうになる(連れていた犬が撃たれる)。
そういう世界の中で、抵抗を試みるリン。兄との二回の対話(来なかった方が幸せ云々と、外に出たリンを止めた時)、そして父親との「テロリスト」対話。3度目読む時はまた激しい対立がひしひしと感じられるだろう。
(2019  05/12)

アメリカから見たロンドン


コニー・ウィリスは「空襲警報」から「マーブル・アーチからの風」へ。これもなんかロンドン空襲に関連あるみたい。アメリカ人であるコニー・ウィリスがここまでロンドンにこだわるのはなぜだろう。「マーブル・アーチ」の方はロンドン地下鉄(チューブ)の駅で待っていると、爆弾の臭いと爆風が語り手だけに感じられる、という話。
(2019  05/14)

離婚と別離と死


「マーブル・アーチからの風」ぎりぎり読み終わり。芝居とか陶磁器セットとか浮気疑惑とか「長老」の変貌とか、いろいろ別個に動いていた「小道具」が最後に合わさるのはこの作家の十八番。その合わさり所が「老いと死」っていうのが哀しいけれど…浮気疑惑も老いてきた疑心暗鬼から生じた自ら撒いた種。
この作家って、表面読んだだけではほんとに面白くないのね。SF作家というより心理小説作家と言った方が…
(2019  05/15)

心理ホラー作家なら一度はやってみたくなる設定…


コニー・ウィリス作品集から「ナイルに死す」。もちろんこのタイトルはクリスティー作品からの借用。エジプト観光に来たアメリカ人3夫妻がカイロ空港に着いたのに、空港の入国審査も荷物受け取りもなく、結構距離あるギザのピラミッドも、もっと距離あるルクソール王家の谷も、徒歩や外輪船で行ってしまう。語り手(妻の方)はなんか死んだのに気づいてないだけではないか、と徐々に思い始めるのだが…という、この短編。シリアス編に分類されているが、技巧を楽しめるという点では読みの感覚が今までの短編とは違う。
といっても、訳者解説によると、この手の設定は心理ホラー作家なら一度はやってみたい設定なのだという。
自分もぜひ(何を)…
(2015  05/27)

車と動物


コニー・ウィリス作品集のラスト「最後のウィネベーゴ」。この聞き慣れない言葉はアメリカに実際にあるキャンピングカーの種類(らしい)。なんかよくわからないけど、こういったキャンピングカーがほとんどの州で禁止され、他の種類の車もいろいろと道路ごとに規制があるみたい。

一方、様々な種の動物の絶滅(これもウィリスのお気に入りテーマの一つ)、車と動物のテーマが交差するところの轢死。過去の回想というかフラッシュバックが時折入る。
世界終末ものではあるが、そうした「世界の終末は日々起こっている」日常を描くのは、この短編集冒頭の「クリアリー家からの手紙」と共通する。
今p306まで。
(2019  05/28)

「最後のウィネベーゴ」読み終わり

 いい人物写真を撮るコツは、写真を撮られていると相手に意識させないこと。注意をそらすこと。だいじに思っているなにかについてしゃべらせること。
(p371)


語り手の写真だけでなく、ウィリス自身の製作術にもなっている・・・というのは、もうお決まりのパターンになっているだろうか・・・
動物愛護協会が秘密警察化するというこの作品の設定はなかなかないと思うけど、種の絶滅とか自然環境の急激な悪化など、今の世の中の何かが少しでも狂えばそうなる可能性はあるかも。ナチスとかも最初は失業問題とかから生まれてきたのだろうし。
(2019 06/01)

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