「ガルシア=マルケス「東欧」を行く」 ガブリエル・ガルシア=マルケス
木村榮一 訳 ガルシア=マルケス全小説 新潮社
《鉄のカーテン》とは赤と白のペンキを塗った木の柵である
若き(30代始め、1950年代後半)ガルシア=マルケスが東欧を訪れた時のルポ。
最初の章は東ドイツ、ベルリン。フランス人女性(インドシナ出身)とイタリア人男性とマルケスの三人旅。フランス車をこのイタリア人が買ったというので「よし、鉄のカーテンの向こう側に行ってみよう」ということになったらしい。
これをスタートの印象として、ここからどう変わっていくか(あるいは変わらないのか)みてみよう。
…と書いてみたものの?解説見るとイタリア人男性というのはマルケスの対談集「グアバの香り」での相手であるメンドーサ、インドシナ出身のフランス人女性というのはメンドーサの妹のようだ。
この後マルケスのルポは東ドイツに駐留するロシア兵へと進む。ロシア兵を「人間的」に見ようとする態度がそこにはある。
チェコスロバキア(ここから先はまた別の旅)編からはこんな文章を。
雪解け以降プラハの春事件以前という社会主義時代のチェコスロバキアにとって一番いい時期の描写。でもメンドーサとマルケスは女性のストッキングに西欧との違いを見つける。
(2019 04/15)
ポーランド行ったら本屋に行こう
マルケス東欧の旅はポーランド編。物資が足りなくても本は多く(でも何故かジャック・ロンドンばかり)、土曜日には社会主義の細胞(末端)組織の会合に行き、日曜日は教会へミサに参加に行く。ガルシア=マルケスにとってかなり不可思議なこの状態。ポーランドはソ連は嫌いで西側に向いているが、それは昔のようにフランスの文化影響圏に入りたいだけなのだ、と。
(2019 04/22)
それでも、地球は丸い
「ガルシア=マルケス東欧を行く」は半分くらい経過。ソ連領内に入ってゆく。
トリーマというのはコロンビアの田舎町。
…全世界中に無数無限のトリーマがあるのかも。
(2019 04/23)
ソ連のスペイン人
ガルシア=マルケスの東欧旅行記中ほどのソ連編。スペインではフランコの独裁を嫌うスペイン人が、たくさんモスクワにいてスペイン語を話していた。一回スペインに戻っても、またソ連に戻ってくる人もいたらしい。
モスクワが人口700万人の大きな村で、建物もなにもかも巨大化させている…というのは、マルケスの見立て。あと、モスクワに着く直前の描写はなんとなく宮脇俊三氏の「シベリア鉄道」を思い出させるような感じがしたので、引用してみたいなあと。
(2019 04/25)
ハンガリー動乱を追って
ソ連とハンガリー動乱1年後のハンガリーへ潜入した章でこの本無理やり旅行前に終了。
ハンガリーは何かの視察団で西側で動乱後初めてハンガリーを訪れた時の記録。このままではお仕着せのものを見せられて終わると感じたマルケスは警備を抜けて外に出ることに成功し、トイレの落書きにハンガリー庶民の本音を見る。
(2019 04/27)
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