「トルコのもう一つの顔」 小島剛一
中公新書 中央公論新社
トルコのもう一つの顔まとめ読み
小島剛一氏の「トルコのもう一つの顔」を昨夜から今日にかけてざーっと読んだ。これは今年正月に買った「旅行人」にこの本の「その後」が書いてあったのを読んでからの遡行読み。
そして、先月読んだ「激動のトルコ」がトルコという国にやや好意的に書いてあったのに対し、こっちはトルコに住むクルド人やザザ人・ラズ人という民族・言語を認めず「トルコ民族唯一主義」(イスタンブールに住むギリシャ人等は別として)を貫くトルコという国に否定的な内容。こっちの方が年代は古いが。
日本(ヨーロッパでも?)ではクルド人問題ばかりが言われるように思われるが、クルディスタンと呼ばれる地域でも方言というか違う言語というか要するにお互いに言葉が通じない。そこにクルド人と重なる地域にいるけど実は違うザザ人や、一応回教徒なんだけどモスクに行かず、男女同権で酒もフリーというアレウィー教徒のデルスィム人とか、まあ当然と言えば当然だがいろいろな人々がいる。ラズ人というのはちょっと離れて黒海南東部の人々。ここには結構な変拍子の曲がある。前から気になっている音楽の一つ。そしてここには隠れではなく忘れアルメニア民族である(らしい)ヘムシン人という人もいたりする。
一方、「クルド語話します」と言っただけで逮捕され拷問されたり、著者も研究を強制終了して送還されてたり・・・実は自分も20年弱前にトルコに行ったのだが、こういう事情は全然知らなかったなあ。
もっと自分的にも深めたいと思う・・・こういう視点。
(2012 11/04)