見出し画像

「エジプト・謎の男トマ・草」 ミシェル・ビュトール、モーリス・ブランショ、クロード・シモン

清水徹・菅野昭正・白井浩司 訳  現代フランス文学13人集  新潮社


小宮山書店ガレージセールで購入。同じシリーズの第3巻と同時に購入(こちらは第4巻)。これがクロード・シモン初体験だったらしい。
(2008 10/18)

「謎の男トマ」…『永遠の繰言』(牧歌/窮境の言葉)- 『ブランショ小説選』書肆心水 にこの菅野昭正訳が収録。他に、篠沢秀夫訳の中央公論新社版(こちらは「謎のトマ」)、門間広明訳の月曜社版もある。全て1950年新版。


ビュトールとブランショ


今日はビュトールの「エジプト」とブランショの「謎の男トマ」を。現代フランス作家13人集シリーズ第4巻。ビュトールの方はエジプトにフランス語教師として派遣されたことの回想録。だけど、単なる旅行記・見聞記ではなく、その土地の歴史とそこに住んだり旅したりする人々への考察が主になる。そう、ゼーバルトが写真で表現したような…

ブランショの方は読み始めたばかり。海で泳いで(溺れて?)いるところの詩的エセー。こちらはマンの「魔の山」の雪山のシーンかと。
(2008 10/22)

ブランショ続き。こういうのを散文詩っていうのだろうか?作者自身の改訂で内容が大幅カットされたこともあり、研ぎ澄まされている文章。トマとは生きているのか死んでいるのか?昨日思ったようにアダムなのか?
確かフーコーがブランショを最後の小説家とか言ってたような気が…
(「謎の男トマ」初版は1941年、この新版は1950年)
(2008 10/23)

シモンは梨の香り


クロード・シモン「草」。読み始めたばかりでまだわからないところもあるが、第二次世界大戦後のフランス片田舎…で死に行く老婆が家にいてその親戚や子供達が何かいろいろ思う、思うだけじゃなくてその他にもいろいろ…とそんな小説らしい。まあ、書き方が緻密に飛ぶ飛ぶ猫も飛ぶ。背景には昼の光と梨や林檎の香り…匂い。
(2008 10/28)

なんとかクロード・シモンを読み終えた。ブランショよりは難しくはないのだが、濃密さが途切れない…「死を空間的に延ばした」作品らしいのだが、その中で唯一「生きている」と思われるルイーズはどうだろうか?
(2008 10/31)
(この小説読後感濃かった記憶が今でも鮮明にあるのだけれど…)

作者・著者ページ


いいなと思ったら応援しよう!