講談社現代新書 講談社
共著者のフランス・ドルヌと小林康夫はじつは夫婦なんだそうな…
共にパリ時代に学んだアントワーヌ・キュリオリの講義をまた聞きにいくところから話は始まる。キュリオリ伝授の発話操作理論の言語学…談話分析を文法レベルまで持ち込んで考えたという感じ?…から
具体的な内容の中では、「庭の先」と「庭先」の正反対の構造、「て」が結ぶ時間になる前の「時」の関係など興味深い。
「庭の先」では先は方向性を持ちその「先」に向かうが、「庭先」では「先」に行かない。「口先」「鼻先」などの「の」の入らない表現も同じ。「て」の時は・・・
「て」でその文中の中での「時」を設定し、「ている」の「いる」などのような語と結びついて、実際の発話空間と接続し現実の「時間」を表現する。 述定関係(述語と関係する項の関係)と発話空間の2つが、前者を後者がつなぎ止めることによって様々な言語が成立しているというのが、この本の最も基本にある考え方。
これは、日本語においては、先に上げた言語の2つの構造のうち発話空間(モダリティと共通?)の割合が高いということを指摘している。これは前に「記号論への招待」で自分的に半ば保留にしていたのと同じ指摘かな?
「すみません」等をすぐ言う習慣と、「て」で終わるお詫びの言葉(「どういたしまして」みたいな)の文化と。
最後にこの文章を挙げておこう。
(2016 06/26)