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「熱狂者たち/生前の遺稿」 ローベルト・ムージル

斎藤松三郎・圓子修平 訳  ムージル著作集  松籟社

読みかけの棚から
読みかけポイント:冒頭の2篇だけしか読んでいない…

ムージル著作集第8巻

生前の遺稿
メロドラマ「黄道十二宮」の序幕
熱狂者たち
フィンツェンツとお偉方の女友達

「生前の遺稿」は実はムージル自身が以前発表していた原稿を再構成したもの。冒頭の「ハエ取り紙」から緻密でユーモアを湛えた書き方に惹かれて借りたのだが、これの前身「ローマの夏」の推敲をムージルは二か月かけて閉じこもって行ったという…次のは序幕だけの作品ということらしい。後半2つは戯曲。
(2020 06/06)

 足の下にあるのはまだ今のところ、やわらかくあたたかで得体の知れない抵抗感にすぎないが、すでにその感じのなかにはぞっとするような人間的なものが徐々に流れこんでくる。そのためそれは一本の手として、つまりどういうわけかそこにあって、ますますはっきりとした五本の指になりながら、私たちをしっかりつかむ一本の手として、認識される。
(p10 「ハエ取り紙」より)

 そのあいだに一方の魂が悠々として他方の魂に食いこむので、やがてそこに憎しみが生まれてくる。
(p14 「猿が島」より)


両方ともローマ滞在中の観察から。後者は身体超えて魂が溶け合うというか流れるというテーマの「テルレス」を思い出す。
(2020 06/07)

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