見出し画像

シニアの憂鬱

昨年60歳を迎えて、定年になりました。
そして、来月には61歳に。本当に早いものです。
さて、60歳になって、何が変わったか??
正直なところ、何も変わっていません。
一日の大半を過ごす会社も延長雇用を選んだので、変化はありません。
もちろん、家庭での生活も変わりはないです。
60歳は正直元気です。体も心も。普通に仕事が出来ます。
でも、定年は宣告をされるわけです。
 
60歳定年は、いつから始まったのかを調べてみました。
シニアの話題によく登場する「サザエさん」の波平さんは55歳で定年だったと記憶をしています。
1994年に60歳未満定年制を禁止する規定が制定され、1998年に施行されるに至りました。つまり、1998年までは、55歳定年制は適法でしたが、1998年以降55歳定年制は違法となりました。
そうです、60歳が定年になってから、すでに25年も経っているわけです。
25年も経てば、医療の発展も著しいものです。また、健康に関する考え方も変化をしています。
それに合わせるように、2021年4月には、高齢者雇用安定法の改正で、65歳までの雇用確保義務と70歳までの就業確保措置をとることが努力義務となりました。
一部の大手企業では、65歳定年になっているところもありますが、60歳定年がまだまだ大半が現実です。
そもそも、定年って必要なんでしょうか?
よくよく考えれば不思議な制度です。本人の能力、気力、体力に関係なく一定の年齢(現在は60歳又は65歳)を迎えたら、有無をいわさず一線から退くわけですから。
まさしく、今回はその感覚を体感しました。
あらためて調べてみるとそのような制度を一般的に義務づけた法律などはありません。
むしろ能力や経験にかかわらず年齢を理由に定年退職を通告されるのは、明らかな「年齢差別」。法の下の平等や勤労の権利をうたった日本国憲法や労働基準法の趣旨にも違反するのではないでしょうか。
定年制度の歴史的背景を調べると、過酷な業務に従事する労働者を保護する役目があり、高度成長時には企業側の負担を軽減し、新陳代謝を円滑に進める役割があったようです。それだけに、一概に疎むべき制度ではありませんが、元気で活力があるシニアが増加をし、人生100年時代などといわれる現状に、そぐわない印象が強いのは歪めません。
仕組みとしての定年が定着しているので、変化をさせることは、非常に難しいと思いますが、これを一度見直す必要を感じています。
定年退職は組織の新陳代謝としての役割が、多くを占めています。
大企業に関しては、これを実施しないと組織として、成り立たない可能性もあるでしょう。
但し、私が所属しているような中小企業は、毎年定年退職者が出るわけではありません。
はっきり言って、組織の新陳代謝とは無関係なんです。
今後、元気で活力のあるシニアを有効活用すれば、生産性は上がるのではないでしょうか。
人生100年時代60歳、65歳はゴールになりません。まだまだ道半ばです。
 
では、シニアには未来は無いのか??
改めて、改正高齢者雇用安定法を確認してみました。
主な改正内容としては・・
 
◎対象となる事業主
・定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
・65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を
 導入している事業主
◎対象となる措置
①   70歳までの定年の引上げ
②   定年制の廃止
③   70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
    (特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
④   70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤   70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
    a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
    b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
       のいずれかの措置を講ずるよう努めることとされています。
 
◎全般的な留意事項
・高年齢者就業確保措置のうち、いずれの措置を講ずるかについては、労使
 間で十分に協議を行い、高齢者のニーズに応じた措置を講じていただくこ
 とが望ましい。
・複数の措置により、70歳までの就業機会を確保することも可能ですが、
 個々の高齢者にいずれの措置を適用するかについては、個々の高年齢者の
 希望を聴取し、これを十分に尊重して決定する必要がある。
・高年齢者就業確保措置は努力義務であることから、対象者を限定する基準
 を設けることも可能ですが、その場合には、過半数労働組合等との同意を
 得ることが望ましい。
・高年齢者が従前と異なる業務等に従事する場合には、必要に応じて新たな
 業務に関する研修や教育・訓練等を事前に実施することが望ましい。
 基準を設けて対象者を限定する場合
・対象者基準の内容は、原則として労使に委ねられるものですが、労使で十
 分に協議した上で定められたものであっても、事業主が恣意的に一部の高
 年齢者を排除しようとするなど、高年齢者雇用安定法の趣旨や他の労働関
 係法令に反するものや公序良俗に反するものは認められない。
 
まずは、65歳までの雇用確保は義務となっているので、ほぼすべての高年齢者が対象となります。
 
改めて、読み返すとここから新たな働き方のヒントが見えてきました。
改正高齢者雇用安定法は、70歳までの就業確保の努力義務が大きな改正点になっており、それを実施する為の方策が提示されています。
もちろん、65歳までにも適用します。
全般的な留意事項の「複数の措置により、70歳までの就業機会を確保することも可能ですが、個々の高齢者にいずれの措置を適用するかについては、個々の高年齢者の希望を聴取し、これを十分に尊重して決定する必要がある。」がなかなかと出来ていない。
定年退職を迎える際に、希望を聴取することは少ないです。
私の会社の事例ですが、会社の用意した仕事を行います。
用意した仕事は、退職後の給料に見合う単純作業が主な仕事になります。
今まで、意識しなかった同一労働・同一賃金がここで登場します。
定年後の働き方でよく聞くのは、給料が減っても仕事の内容は一切変わらない。それが原因でモチベーションが下がるいう話を。
やる気も満々なのに、仕事が無いのも、モチベーションは下がるというよりは、それを維持することが大変なことです。
これからは、少子高齢化の拍車がかかり、人手不足は顕著になります。
定年を迎える前に、希望を聞き、尊重して決定することを現実に実施すれば、少子高齢化時代の採用を勝ち抜けることが出来るのではないでしょうか。
但し、中小企業に関しては、対象となる措置を実施する為の準備が必要になります。
上記の対象となる措置の④、⑤に関しては、過半数の労働組合等の同意が必要ですし、就業規則等の整備も同様です。
 
私が特に注目をしたいのは、④の「70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」です。
以前から、定年後の新しい働き方としての業務委託契約は、度々見聞きすることがありました。
但し、中小企業で定年後に業務委託契約をして働くことは、非常にハードルが高いと思われます。
改正高齢者雇用安定法で措置として明記されていますが、会社は現実味をまったく感じていないのではないでしょうか。
顧問などの役員で業務委託契約を結んだことがあっても、社員の業務委託契約は前例がありません。前例が無いことを可能にするには、それ相当のスキルと経験・実績が必要になります。それがないと、会社は業務委託契約を結ばないでしょう。
では、それを可能にするには、どうすればいいのか。自分の現実は、まさしく戦力外の状況です。
ここからの一発逆転は、非常に難しいとしか言いようがありません。
それを実現する為に、私が実践しているのは、コミュニティへの参加です。
 
前回のブログでも紹介しましたが、コミュニティへの参加のきっかけは、キャリアコンサルタントの資格取得から始まりました。
コミュニティの繋がりから、現在3つの団体に所属をしています。
この3つのコミュニティの活動が、本当に少しずつですが、形になってきているように感じられています。
定年という立場では、今の会社では出来ないことが出来るようになりました。
ベースにあるのは、もちろんキャリアコンサルタントという立ち位置です。
シニア活躍や働き方のオンラインの交流会を自分のファシリテーションで実施することも多くなりました。
また、kindle出版ですが、コミュニティ活動の書籍に、コラムを掲載させていただきました。
今後は、コミュニティ内のリアルな勉強会の講師をやる機会もあると思います。
このような、コミュニティでの活動が、もっと形になってこれば、会社への業務委託契約の申し入れが出来るようになるのではないでしょうか。
また、会社に頼ることなく、キャリア支援を出来るステージが、実現できる可能性もあると思います。
冒頭に紹介しましたが、間もなく(5月)に61歳になります。
もう定年になって、1年が過ぎたことになります。
定年雇用延長の区切りである65歳までに、このぼんやりしているものを形にしたいと思っています。
65歳になれば年金の受給も始まります。
それを自分らしく働くチャンスとして捉えることが可能になるようにしたい。
残りは4年です。今のコミュニティをベースに一歩一歩前に進み、ステップアップ出来るようにすること。
場所が変われば、自分をはかる物差しも変わります。自分の最もフィットする場所はすぐそこにあるはずです。
人生100年時代、残りをワクワクと過ごすように出来るのは、自分次第です。

いいなと思ったら応援しよう!