近所の「生きづらさ」
こんにちはー!
「生きづらさ」を「おもしろさ」に転換する男、西村史彦です。
最近は、noteを更新できない自分に「生きづらさ」を感じています。笑
今回のテーマは、近所の「生きづらさ」。実際に「生きづらさ」を感じながら、今まさに「おもしろさ」に転換していっている人にフォーカスを当てるという企画です。
というわけで、今回は、就労継続支援B型事業所Geniusのアーティストの一人である川浪晋さんに話を聞いてみました!
プロフィール
川浪 晋/Susumu Kawanami
統合失調症による頭痛と振戦に苦しむ日々を送る中、ジーニアスと出会いアート活動に取り組むようになる。絵を描き出すと、驚異的な集中力を発揮し、その時間だけは頭痛や振戦がピタリと止む。穏やかな笑顔がチャーミングな彼は、音楽と読書を愛し、詩や短歌を書いては新聞社に投稿していた経験もある。好きな事で培った無限大の世界観で、ユーモア溢れる作品を次々と生み出している。
質問①「生きづらさ」ってどんな場面で感じますか?または、感じてましたか?
川浪晋さん:僕は、幼児期から、発熱しやすく、病弱でしたので、周りとあまりなじめなかった思い出があります。また、祖父や親戚の家に預けられて育ったため、周りは大人ばかりの環境だったこともあり、同級生と話が合わなかったというか、人との距離感等を学び損なったように思います。
小学生の頃は、同級生に外見や服装、身体的特徴をボロクソに言われて、存在しているだけで迷惑だと言われるなど、イジメを受けていたこともありました。
当時は、居場所がどこにも無いような気がしていました。本の世界だけが味方という感じで、まさに生きづらかったですね。常にどこにも所属できない感覚がありました。
大学に入って、統合失調症を発症してからは、不本意なことや、したくない作業をせねばならないことが多くなりました。病気して、痛みに襲われることもあり、いろいろとできなくなった自分を受容できない、情けない、みじめだと感じる生きづらい日々を送りました。
周囲の人達からは、病気の事はあまり理解してもらえませんでした。
must(しなければならないこと)に囲まれているうちに、自分の本当にしたいことがわからなくなってきて、自分の能力を存分に活かせていないような不燃焼感を感じて眠れなくて、生きること自体に疲れてしまうような夜もいくつもありましたね。
西村:なるほど。色々話してくださってありがとうございました!
晋さんの「生きづらさ」は、家族や親戚、同級生など人間関係によるものや、病気の症状によるもの、自身の能力が活かせていないと感じる虚しさによるものなど、自分自身と環境のミスマッチングによって感じる「生きづらさ」が多かったようですね...。
質問②今「生きづらさ」が少しでも「おもしろさ」に転換していると思いますか?
川浪晋さん:すなおに答えると、まだまだ生きづらさの方が上回っています。なので、西村さんやほかの方たちに、少しずつ転換の仕方を教えていただきたいです。
でも、自分なりにおもしろさに転換できている部分にフォーカスして、考えてみました。それは、やはり、先人の生き方を学ぶことと、書くことだと思います。
CHANELの創業者のココ・シャネルの人生や、アンリ・ファーブル、チャップリンなどの人生を知ると、前半生の苦悩や不幸事が、のちのち彼らの成功や幸せに変わって行ったことを知りました。
それで、今の苦難や試練も、将来的には、たくさんの人を幸せにできるギフトを産み出せる可能性があることに、希望を持っています。
同じ病気や、同じ悩みを持つ人達に、なにかしらのアドバイスや、智恵を渡すことはできるかもしれない。せめて、薬にはなれなくても、心をくるむ毛布にはなれるかもしれない。
私が今のような状態になっても、まだ生かされているのは、なんらかの役割があるからだと思うときもあります。
ヘレン・ケラーの先生のアン・サリバン先生は、視覚障がい者であり、統合失調症でもある方でした。サリバン先生は、母と弟を交通事故で亡くして、アルコール依存症になった父親に暴力を振るわれ、捨てられて、病院に入院して、そこの掃除婦や看護婦さんの優しさに救われて、立ち直り、盲学校を出て、ヘレンの先生になられたそうです。
私が尊敬する声優で歌い手の宮瀬悠希さんが、「できないことから、物語は始まるんだよ」と言う話をされていました。できない時は、くやしいんだけど、一番楽しいのもあるし。なので、演技や表現と言うのは、奥が深くて、だからずっとやっているのだと。
私は宮瀬さんのような境地には、まだ至れていないので、できない自分は許せないし歯がゆいし、そうなれたらいいなーと思うし、面白がる力と言うか、そういう姿勢にヒントがあるような気がします。
面白いものを探したり、面白いものに変えていくのではなく、自分に面白がる力をつければ、なんでも面白くなるのかな?とかも考えます。
映画評論家の淀川長治さんも、どんな映画でも楽しんだし、今までに嫌いな人に会ったことが無い、とも言われていたようで、必ず面白いところや長所しか観ていなかったそうです。
まだ自分の中でもぐちゃぐちゃで、まとまりが無いですが、面白くしていく方法は、たくさんあると思いますので、面白がれる自分を作っていきたいと思います。
今朝は、とても澄んだ秋空を観ました。
空は常に姿を変え、とどまることなく変化していく。
今日の空は、今日しか見られない。
悩んで下を向いて、今日しか見られない空を見損なうのは、もったいない。
自然に触れて、四季の変化を体感して、色彩豊かな思い出を増やしていくことも、おもしろさに転換していく力になる。感受性こそ、人生を深める力。
私にとっては、書くことがおもしろさに転換していくキッカケなのかもしれません。
長くなりましたが、今はそんな感じです。
西村:おぉ!素敵なお話をありがとうございました!
「生きづらかった」自分がいて、だからこそ気づけた「今」があるのかもしれませんね。
「おもしろさ」を探すのではなく、「おもしろがる自分」をつくる。
素晴らしいですね!
受け身では、人生の主人公は務まりません。主体的に人生のドラマを楽しむ姿勢にこそ「おもしろさ」に転換する鍵があるのだと思います!
晋さんのGeniusでの活躍をご紹介
今まさに「生きづらさ」を「おもしろさ」に転換していっている晋さんのGeniusでの活躍をご紹介します!
まずは、代表的な作品から...
サンゾウ(2020年)/紙、アクリル、ボンド
3頭のゾウがコントラストの効いた色彩で描かれた作品。黄色のゾウには、より立体的に見えるようにボンドを盛るようにして描かれているんです。
そして、次に紹介したい作品は、
ヘビ(2020年)/ダンボール、アクリル
川浪晋さんがGeniusで初めて描いた作品です。構図や色彩感覚が絶妙!
Tシャツや手ぬぐいなど、「アートを使う、アートと暮らす」をコンセプトとしたものづくりブランドfaのアイテムにもデザインとして採用されました!
お次は、
Fun beetle(2020年)/紙、顔料インク
カラフルな点描とユニークな線で描いた「カブトウシ」だそうです。
障害者と雇用をテーマに発行されている「働く広場」に掲載されました。
そして、晋さんの作品の中でもひときわ人気の高い作品がこちら。
やおよろず(2021年)/キャンバス、顔料インク
はじめは「たべっ子どうぶつ」をテーマに描いていたはずの作品が、いつの間にか「やおよろず」というカッコいいタイトルになっていた!
想像力豊かなユニークな形と色、模様で埋められた魅力あふれる作品です!
2022年「さが県民手帳」にも採用されました!
他にも素敵な作品を多数生み出している川浪晋さん、今後も活躍がまた楽しみです!!
今後、「おもしろがる力」を身に着けていく彼を、ぜひ応援してください!!!
というわけで、晋さんありがとうございましたー!!
※今回ご紹介したアイテムはこちらからお買い求め頂けます。
かわいいクッションもあるよ!(左上のフクロウ、右上のサボテン、左下のネコは川浪晋さんの作品をデザインとして使用しています。)