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タン タン タンデムで足湯へ


朝シンデレラは自分のスクーターを出そうとしたが、エンジンがかからなかった
おとといは遠出出来たのに、1日空けただけでなぜかもう走らないとか、ふつうにショック
ふて寝した

そうしたら彼が大きなバイクでやってきた
シンデレラお困りのスクーターは彼の見立てでもダメで、おでかけは彼のバイクにタンデムで行くことになった

彼の背中でびゅんびゅんと強く寒い風を感じながら、シンデレラは「自分ひとりの運転ではこの寒さを乗り切れなかったかもしれないな」と思った それに彼の運転は後ろに乗っていてリラックス出来るし、背中のライダースの固さの中にある柔らかさは心地よかったから

途中バイクを降りて、あたたかい石の上に座ってひなたぼっこをした
のほほんと過ごす時間
美味しいお蕎麦を食べた

ほどなくして目的地の足湯に着いた
ふたりは息ぴったりで、シンデレラはガスバーナーにヤカン、彼はコーヒー豆にミルにドリッパーにカップふたつをそれぞれ用意していた そう、青空の下でコーヒーを淹れるために
足湯は貸切状態で、膝から下を温泉につけながら協力して準備
出来上がったコーヒーはアメリカンスタイルで飲んだ それはそれは美味しいコーヒーだった 足湯はちょっとぬるかった

目的を果たし、あとはまたふたりで、今度は肩まで浸かれるお風呂へ
冷えた身体は時間をかけて温まった
それでもLADY 時間がないの
気づけばもう外は日が沈みかけていて、寒い風の中をシンデレラの家まで向かう
シンデレラが徒歩で帰るには遠すぎるから
それに、ふたりは別にお城だけで会うような関係じゃないし
彼は家でバイクからクルマに乗り替えて、シンデレラを家まで送り届けてくれた
シンデレラはそのあとすぐに仕事の面接があったので、更に家から面接場所まで連れて行ってくれた

普段は別々の場所に住んでいて
時々時間を合わせてこんなふうに会い
また離れて、お互いの生活に戻る
シンデレラは夜になると魔法が解けてしまうので、かならず家に帰らないと
魔法は1日1回夕食後服用だから

そして、魔法が解けたその姿だけは、けっして彼に見せてはいけないのだ

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