中央のポジショニングを比較的自由にする(エヴァートンに見た、敵陣でのポジショナルな攻撃)
20/21 プレミアリーグ 第2節
エヴァートン vs ウェスト ブロムウィッチ
~エヴァートンに見た、中央でのポジショニングの自由~
エヴァートンは今シーズンから、中央で攻撃の起点となるハメス、攻守においてポジショニングの質が高いアラン、ボックスtoボックスのドゥクレを獲得し、非常に期待できるシーズンとなりました。さらに、よりアンチェロッティの色も出てきたと思います。
そんな中、第2節のウェスト・ブロム戦では圧倒的な攻撃力を披露し、大量5得点を取りました。
この試合でエヴァートンは攻撃時(敵陣)、中央に位置する選手が比較的自由なポジショニングで流動的に動いていました。そこにはどのような狙いやメリットがあるのか?分析していきます。
スタメン(home : エヴァートン)
(away : ウェスト ブロムウィッチ)
結果 : エヴァートン 5 - 2 ウェスト ブロムウィッチ
( 前半 2 - 1、後半 3 - 1 )
エヴァートンの攻撃
(敵陣でのポジショナルな攻撃)
① 陣形
エヴァートンは敵陣でのポジショナルな攻撃時、基本的には下図のような配置となるが、敵陣の中央(ハーフスペースを含める)に位置するCFのカルヴァート、ウイングのハメスとリシャルリソン、インサイドMFドゥクレとアンドレ・ゴメスの5枚のポジションは比較的自由で流動的に動くことが多い。(特に右ウイングのハメスが自由に動く。)
これにより、中央のエリアでマークを外すことができ、相手の守備ブロックの強度を下げることができる。つまり、守備ブロックの背後を取りやすくなる。
また、状況に応じて大外に立つSB(ディニュ、コールマン)とインサイドMF(アンドレ・ゴメス、ドゥクレ)がポジションチェンジすることで、相手によりマークの混乱を生じさせる。
② プレー展開
プレー展開としては、幅を使ってボールを動かし、相手を左右に揺さぶり、空いた中央のエリア(ハーフスペースを含める)から優先的に崩そうとする。このとき①でも記述した通り、中央の5枚が比較的流動的に動くことにより、相手の守備ブロックの強度を下げる。また、中央のエリアではハメスが起点となることが多い。
※中央で攻撃ができないときはサイドから攻撃をする。
(例)4点目のシーン
③ サイド
サイドのエリアでは、下図のようにボールサイドのSB、ウイング、インサイドMFの3枚で崩そうとする。
この試合では、右サイドではSBのディニュが大外レーンの比較的低い位置からのアーリークロスを頻繁に上げていた。一方、右サイドでは、SBのコールマン、ウイングのハメス、インサイドMFのドゥクレが流動的に動きながらハーフスペースの背後を狙っていた。
エヴァートンがこの試合で、敵陣中央に立つCF、ウイング、インサイドMFの5枚のポジショニングを比較的自由にした狙いは、中央から相手守備ブロックを崩すことだと思いました。
中央から守備ブロックを崩すことができれば、それだけでゴール期待値が高くなります。実際、ハメスを起点として中央のエリアから相手守備ブロックの背後を取るシーンが多く見られました。また、SBとインサイドMFがポジションチェンジすることで、より相手のマークにズレが生じていました。
また、かなり前に人数をかけて攻撃をしていることが分かりますが、これはアンカーの位置にアランがいるからこそできると思います。アランがネガティブトランジション時の被カウンターストップの役割を果たしてくれるのです。
今シーズンのエヴァートンは明らかにBIG6を脅かす存在になるのと思うので期待したいです。