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ジローナに見た、コーナーキック攻撃戦術
コーナーキック攻撃戦術
~ジローナより~
今回は、セットプレーの局面であるコーナーキック攻撃において、ジローナを分析します。
分析の対象としたシーンは、23-24ラ・リーガ第19節のアトレティコ・マドリード戦での得点のシーンです。
まず、ジローナはこの場面で、非常に効果的なショートコーナーを行いました。これを分析することで、ショートコーナーに対する個人的な見解をまとめます。
ジローナの
コーナーキック攻撃
① ベースとなる配置
ジローナはコーナーキック攻撃時、下図のような配置となる。
説明すると、キッカーが1枚、ゴール前のフィニッシャーのエリアに6枚、後方のマーク/カバー要員として3枚を配置する。ここで、全体の配置を「キッカー - フィニッシャー - マーク/カバー要員」の順で「1-6-3」と表すことができる。
![](https://assets.st-note.com/img/1707827800792-vpaMphW4FR.png?width=1200)
※画面には写っていないが、カバー要員は3枚となる
② キッカー
ここから、それぞれのエリアにおいて分析する。
まずキッカーのエリアにて、ボールをキックする選手は、アレイクス・ガルシアである。ここで、ペナルティエリアにてニアサイドに位置していた選手(イヴァン・マルティン)がボールへ寄っていき、壁パスでキッカーにボールを戻すかたちでショートコーナーを行う。
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(ショートコーナー)
このとき、後方のエリアからも同様に1枚(パブロ・トーレ)がキッカーのエリアへ移動してショートコーナーに参加する。つまり、フィニッシャ-のエリアと後方のマーク/カバーのエリアから1枚ずつがキッカーのエリアに移動し、キッカーと合わせて3枚でショートコーナーを行う。これにより、結果的に敵はショートコーナーに対応するためにエリア内から3枚が釣り出される。
![](https://assets.st-note.com/img/1707827925661-geSawIdz0n.png?width=1200)
から1枚ずつがショートコーナーに参加する
③ フィニッシャー
次に、フィニッシャーのエリアについて見ていく。
キッカーのエリアにて、敵のディフェンダーを3人釣り出したことにより、ゴール前では4人vs敵5人という状況になっている。もともと8~9人の敵がエリア内に配置されていた状況を考えると、それに比べて攻撃側は有利な状況になる。
![](https://assets.st-note.com/img/1707828042579-GhlybxvXYQ.png?width=1200)
また、ショートコーナーを行ったことによって、敵のマークが曖昧になり、その結果ゴールが生まれた。
![](https://assets.st-note.com/img/1707828072484-v6mrbBAtbO.png?width=1200)
④ マーク/カバー要員
最後に、マーク/カバー要員について見ていく。
ジローナの場合、このエリアには元々3枚が配置されていたが、ニアサイドの1枚がキッカーのエリアに参加するため、残りの2枚がこのエリアで対応することとなっていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1707828092181-it5M5xKB9D.png?width=1200)
今回は、ジローナのコーナーキックの攻撃について分析しました。
ジローナは、敵を引き付けるという意図のもと、ショートコーナーを行っていました。
個人的な見解ですが、ショートコーナーは、ペナルティエリア内の敵の守備陣形を乱す意味でとても効果があると思います。
例えば、敵の守備の基準がマンツーマンである場合(今回のアトレティコのように)、ショートコーナーに参加した味方へマンマークでついてくるため、エリア内の敵の枚数を減らすことができます。ここで、ゴール前では数敵均衡に近い状態となっているため、攻撃側にとってはそれだけでゴールの可能性が高くなります。
また、敵の守備がゾーンである場合でも、ショートコーナーを行うことで、キッカーのエリアやエリア内にて局所的に数敵優位を作りやすくなる。または、敵がマンマークに切り替えることも多く、この場合、一時的にマークに混乱が生じるため、フリーな味方を作りやすいといったメリットがあります。
実際の試合では、直接コーナーだけでなく、意図のあるショートコーナーも織り混ぜることで敵の守備を乱すことができます。この場合、パターンではなく、より柔軟な方法でコーナーキックを行うことが大事になると思います。
画像参考)
23-24 ラ・リーガ第19節 ジローナvsアトレティコ・マドリードの試合映像より引用