ユベントスに見た、フリーキック守備戦術
フリーキック守備戦術
~ユベントスより~
今回は、セットプレーの局面であるフリーキック守備(サイドのエリアからのフリーキック)において、ユベントスを分析します。
まず、ユベントスのフリーキック守備時のベースとなる守り方は「ゾーンディフェンス」です。これを分析することで、ゾーンによる守備に対する個人的な見解と、それに対する有効な対抗策を考察していきます。
ユベントスの
フリーキック守備
① ベースとなる配置
ユベントスはフリーキック守備時、下図のような配置となる。
説明すると、ボール周辺のエリアでは壁として1人が立ち、ショートパスで再開された場合にその周辺の敵へいち早く寄せられる位置に1~2人が立つ。ゴール前のエリアでは、残りの7~8人が入る。基本的に、11人全員で守備をするため、前方のエリアには人は配置しない。
ここで、全体の配置を「ボール周辺 - ゴール前 - 前方のエリア」の順で「3-7-0」もしくは「2-8-0」と表すことができる。
② ボール周辺
ここから、それぞれのエリアにおいて分析する。
まずボール周辺のエリアでは、前述の通り、壁として1人が立ち、ショートパスで再開された場合にその周辺の敵へいち早く寄せられる位置に1~2人が立つ。ここでは、ボール周辺の敵の枚数に合わせて対応するかたちとなる。
③ ゴール前
次に、ゴール前のエリアでは、ベースとしてゾーンディフェンスを行う。
具体的に、このエリアには7人(もしくは8人)が入り、「5-2」の陣形でゴールエリアとペナルティエリアの間のスペースにブロックを形成する。
④ 前方のエリア
最後に、前方のエリアについては、ユベントスは基本的に11人全員を守備に戻すため、ここのエリアには配置しない。
※しかし、試合の状況によっては、カウンターで決定的な仕事ができる選手(または、守備ではあまり戦力として期待できない選手)を前方のエリアに配置することもあるはずである。
今回は、ユベントスのゾーンディフェンスをベースとしたサイドからのフリーキック守備について分析しました。
私の考えでは、ゾーンによる守備のメリットは、個人の能力に依存するよりも組織的な対応を取ることができること、ゴール前のエリアをバランス良くカバーできること、競り合いの強い選手を最も危険な位置に配置できること、といった点が挙げられると思います。
ではここで、ゾーンディフェンスに対するフリーキック攻撃について、有効な対抗策を考えます。
相手がゾーンであるということは、あらかじめその配置が決まっています。そのため、攻撃側は、敵の弱点となるエリアを特定し、そこへ局所的に密集してそのエリアをターゲットにする(数敵優位)、敵の配置と噛み合わせがずれるようにする(位置的優位)、というような方法により、敵の守備に対して優位に立つことができると思います。また、キッカーのエリアにてショートパスによる再開(デザインされたプレー)も効果があると思います。
画像参考)
23-24 セリエA 以下試合映像より引用
・第11節 フィオレンティーナ vs ユベントス
・第20節 ユベントス vs サッスオーロ
・第23節 インテル vs ユベントス