ローマに見た敵陣でのプレッシング
22-23 セリエA 第32節
ローマ vs ミラン
今回は、先日行われたセリエA第32節ローマvsミラン(1-1)での試合で見られた、ローマの敵陣でのプレッシングについて分析しました。
ローマの
敵陣でのプレッシング
① 陣形と配置
ローマは敵陣でのプレッシング時、下図のような配置となる。具体的に、前線のエリアにてエイブラハムとベロッティが、中盤のエリアでペッレグリーニとクリスタンテが横並びになる配置を取り、全体として「5-1-2-2」のような陣形となっていた。また、このときの守備の基準はゾーンディフェンスとなっていた。
② プレッシングの開始点
プレッシングの開始点は、下図のエリアが主な開始点として設定されていた。
※敵陣を3分割したとするときのだいたい真ん中のエリア。「攻撃的プレッシング」とよばれることもある。
③ スイッチ
プレッシングのスイッチは、ボールがサイドへ送られたタイミングで中盤に位置するペッレグリーニ、クリスタンテが大外に立つボールの受け手に寄せたときであった。
このとき、ペッレグリーニ、クリスタンテは中央(斜め後方)へのパスコースを消しながらボールホルダーへアプローチしていた。
④ 追い込み方(プレッシングの狙い)
プレッシングの追い込み方としては、まず、上記の配置(5-1-2-2)において前線のエイブラハム・ベロッティ、中盤のペッレグリーニ・クリスタンテが中央でコンパクトを保ち、サイドのスペースを空けることでそこへボールを誘導する。その後、スイッチと同時にボールサイドにスライドしボール周辺のエリアで数的優位な状況を作り、マンマークとそのカバーリングを行っていた。
以上のローマのプレッシングのように、中央でゾーンで構えたのち、サイドにボールを誘導してそのエリアで数的優位な状況をつくるようなプレッシングは、ミランのようなポジションの流動性が高いチームに対して効果的だと思いました。
この場合、追い込んだボールサイドのエリアにて「適切なマンマークとカバーリングを行えるかどうか」が重要になり、この振る舞いによって敵のボールロストを引き起こせるかどうかを左右すると思いました。