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「インサイド・ヘッド2」を見て思春期の子どもとの向き合い方を考える

 流行りにのって、息子がインフルエンザ療養中です。年末の旅行と帰省の予定は一旦キャンセル。すでに熱も下がり、毎日1つアマプラでドラえもんの映画を見るのを楽しみにするくらい元気になりましたが、私もなんだか気が抜けてしまったのか無気力に…。昨日は色々やらなくてはいけないことを忘れ、一緒に映画鑑賞。私がずっとみたかったインサイド・ヘッド2を観ました。

 前作も大好きだったし、前評判も良く期待していましたが、本当に期待以上でした!自分の研究の関係で最近認知行動療法の本を大学からどっさり借りてきて読んでいた私は、その内容が映画と結びついて、細かい部分まで示唆に富んだストーリーに今も様々な思考が巡っています。そして、まさに思春期真っ只中の娘とライリーの姿が重なって…。タイムリーにこの映画を観ることができて良かったです。

 「思い・考え」「感情」「行動」「身体症状」が相互に関連し合っているという「認知行動モデル」の考え方が、ストーリーの随所に散りばめられています。前作からのヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリたちに加え、思春期になり新たな感情として加わったシンパイ、イイナ、ダリイ、ハズカシ。沢山の感情が交代に顔を出し、くるくる変わる主人公ライリーの表情や態度… 。これってまさに今の娘の状態だーーと納得。ジェットコースターみたいな娘の言動や行動に振り回されて、こちらもついついイライラしがちな日々ですが、こうやって理解すると仕方ないよね、大変だよねと思えてきます。そしてどんな姿も全部、等身大の姿なんだなと。

 映画の中で、「私はいい子」「私はいい子」と何度も聞こえるライリーの中核信念が揺らいだり、変化したりするシーンが一番印象的でした。これまでは大切、必要だと判断された思い出だけが「信念の泉」に送られて、「じぶんらしさの花」(中核信念)を作っていました。でも、最終的には不用だと思われていた様々な出来事や感情全てが信念の泉に流れ込み、ライリーの新たな自分らしさの花を作り上げました。子育てでも、これまでは親が環境を整えたり、大切なことを伝えてきたけれど、それだけでは大人になってからの荒波を乗り越えてはいけない。思春期以降は特に、親の影響よりも仲間や、家庭以外の様々な場での経験や感情が自分らしさの花を創り上げていくのだと思います。これから親として自分が出来ることってなんだろう。信じて、見守ることくらいなのかもしれない。自分らしさの花は、子ども自身が自分の力で創り上げていくもので、親が操作するようなものではないということを肝に銘じておきたいです。

 ライリーのお父さんやお母さんの頭の中では、感情はまた元通りのメンバーに減っていて、シンパイが出てきたら「久しぶりー!」と言われていたシーンがあり、あんなにたくさんの感情が共存しているのは思春期特有なんだということも印象的でした。大人になっても私の頭の中には結構な頻度でシンパイが登場していそうだけれど。少しだけ顔を出しては「まだだよー」と言われて消えていたナツカシというおばあちゃん姿の感情の存在も気になります。歳を重ねると出てくる感情なのでしょうか。続編があったら是非観たいです。

 心理学のエッセンスが詰め込まれた本作ですが、8歳の息子も声を上げて笑ったり、ちょっと悲しくなったりなど、純粋に冒険ストーリーを楽しんでいました。冬休み中にもう一度、今度は思春期の娘とも一緒に観てみようと思います。

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