【個性を活かす】世界でもっとも有力な性格診断「ビッグファイブ」〜理論のまとめと体験談〜
こんにちは、大山ふみあき(@ThanksDailylife)です。
今回は科学的にも信頼性が高く、世界中で多くの研究でも使われているパーソナリティ(個性)分析「ビッグファイブ」をやってみたので、その理論と体験談をまとめます。
なぜ「パーソナリティ(個性)」を知るのが大事なのか?
作家の夏目漱石は、学習院での講演で、「個性」を認めることの大切さを次のように語っています。漱石自身も英国留学で深いうつ病に苦しみ、それから回復して多くの作品を残しました。
つまり、自分の個性を理解して、それを活かすことが幸せである。そして自分の個性を尊重するように、他人の個性をも尊重するのが道理だというわけですね。
同感です。やはり、まわりから見てどんなにうまくいっていることでも、「自分らしくない」と感じることは長続きしないですし、それをやる意味を見いだせなくなって、モチベーションが下がってしまいます。
ですので、まずは「個性(パーソナリティ)とは何ぞや?」を理解するところから始めたいと思います。
パーソナリティとは?人の個性を理解する意味
パーソナリティとは、持って生まれた性格の素質「気質」と、生きてくるなかで経験したさまざまな外部要因(生育環境、人間関係、教育など)によって形作られた「その人らしさ、持ち味」です。
パーソナリティの決定には、遺伝的な要因が50%影響していて、それは終生変わることはない。
自身のパーソナリティを理解することで、自分がどんな状況でどんな反応をとりやすいのか−何に興味関心をもつか、積極的に行動するかどうか、人や社会とどう関わるか、どんな考えや情動が湧きやすいかなど−、おおよそ予測がつきます。
パーソナリティはどれが「良いか悪いか」「優れているか否か」というものではなく、どんなパーソナリティにも利益とコストがある。
自身のパーソナリティを理解し、それが「強み」として発揮されるやり方や環境を選んでいくことで、仕事や対人関係、自己実現など実生活をより良くし、人生の喜びや充実感を得られやすい。
そうして予測できることで、あなたにとって心地よい、幸せを実現するよう、働き方や対人関係、趣味活動などを選択していけるでしょう。
パーソナリティが科学的にわかる「ビッグファイブ」理論
いま世界でもっとも有力で、科学的に信頼性の高さが明らかにされているパーソナリティ分析方法が「ビッグファイブ」理論。ほかに主要5因子、BigFive性格特性、五因子モデル(FFM)、OCEANモデルなどとも呼ばれます。
ビッグファイブ理論では、人のパーソナリティは主要な5つの特性−外向性、神経症傾向、誠実性、調和性、(経験への)開放性−からなると考えます。
「特性」は、タイプ分けや分類されるものではなく、ひとつの連続体(スペクトラム)であり、その連続体のどこに位置するのかが人によって異なります。
どんな人も5つの要素をすべて持っていますが、それぞれのレベルが異なることでパーソナリティに違いが現れます。パーソナリティはその人の「行動」から推しはかることができます。
人々の分布は正規分布(ベルカーブ)することがわかっています。例えば外向性では、外向的でもなく内向的でもない平均の中央部分に多くの人が収まる、というように。
【ビッグファイブまとめ】5つのパーソナリティ特性スコアが高い人/低い人の特徴
外向性(Extraversion)
外向性は「社会的行動への関心の高さ」を示します。
社会的行動とは、例えば、新しい友人や恋人、収入、昇進や名声といったステータス、旅行やアクティビティ、性的活動、大勢の人が集う楽しい場、など。
外向性の高い人は、「ポジティブな情動(喜び、欲望、熱中、達成、興奮など)」を多くもち、積極的にそうした報酬や快感を手に入れようと活動的、社交的にみられます。
一方で外向性の低い(内向的な)人は、もの静かで、よそよそしく見られることがあります。ただ内向的な人は、決して情熱がないわけではなく、思索をめぐらすなど内的活動で十分満足できている。ある意味で世間の報酬から超然として、独立しているともいえるでしょう。
外向性をもたらす遺伝的要因には、ドーパミン感受性にかかわるDRD4遺伝子や、中脳の報酬神経回路の反応性などがあります。
神経症傾向(Neuroticism)
外向性がポジティブな情動への反応性であるのに対して、神経症傾向は「ネガティブな情動への反応の高さ」を示します。ネガティブな情動とは、例えば、恐怖や不安、恥、罪悪感、嫌悪感、悲哀などの不快感があります。
神経症傾向スコアの高い人は、ひどい経験や恐ろしい場面に遭遇したりした後でネガティブな情動を引きずり、ストレスを受けやすくなります。またひどく心配性で、よく悩みを抱えています。
またネガティブな情動は自分自身に向けられることが多い、というのも特徴。自分が間違った生き方をしているのではないかと不安になったり、自尊感情が低かったりします。
そのため神経症傾向の高さはうつや不安障害、強迫性障害、境界性パーソナリティ障害、PTSD、摂食障害、ワーカホリックなどとの関連がわかっています。
こう聞くと神経症傾向はマイナス面しかないと思えますが、作家や画家、アーティスト、思考が中心の知的専門職には神経症傾向の高い人が多く、その芸術活動や思索に役立っているとも考えられます。
一方で神経症傾向スコアの低い人は、情緒的に安定しており、ストレスがあっても、体調を崩したり、仕事や実生活に支障をきたしたりは少ないです。
神経症傾向に影響する遺伝的要因には、セロトニン・トランスポーター遺伝子のタイプや、脅威に反応する扁桃体や大脳辺縁系の活動の高さなどがあります。
誠実性(Conscientiousness)
誠実性とは一言でいえば「自制心」であり、衝動のコントロールに関わる特性です。脳内の前頭葉のはたらきが大きく関わっています。
誠実性スコアの高い人は自己管理や約束を守ることができ、まじめにみられます。目の前においしい誘惑があっても、それを抑制し、自分が設定したもっと重要な目標やプランに対して行動するのを選ぶことができます。
例えば、ダイエットのために目先のケーキを我慢して、健康的な食事をとる。飲み会の誘いを断って、資格取得の勉強をするなど。
そのように誘惑を抑え、目標や規則を守るほうを優先する誠実性の高さは、職業での成功ともつながっています。
一方で誠実性の低い人は、衝動的、不注意であり、欲求を抑えることが難しい。アルコールやギャンブル、ドラッグなどの依存症者には、共通して誠実性スコアが低いことも指摘されています。
そう聞くと、高い誠実性は良いことばかりに聞こえますが、すべてのパーソナリティ特性と同じく、コストやリスクもあります。
高すぎる誠実性は、自分で決めたプランやルールにこだわり、完璧主義で、柔軟性や合理性を欠く場合があります。「強迫性パーソナリティ障害」は極端に誠実性が高い状態です。
調和性(Agreeableness)
調和性は「他者への配慮」を示し、それによって自身の行動を変えていく特性(他者配慮選考)です。
他者に配慮した行動をとるのは、「心の理論」と呼ばれる心的メカニズムで、人間だけがもつ特性とされます。
調和性スコアの高い人は、他者の心の状態に関心をもち、それによって対人関係に心を砕いたり、協調して行動したりします。
それによって信頼関係や良い社会関係を築き、本人も道徳的な喜びを得ることができますが、その一方で、個人的成功という点ではリスクにもなりうるとのこと。
一般に、男性よりも女性のほうが調和性が高く、マザー・テレサなどは極めて高い調和性の代表でしょう。
経験への開放性(Openness)
経験への開放性は、読書や絵画、演劇、音楽などあらゆる文化的、芸術的活動への興味・関心の高さを示します。
創造力や独創性、芸術性を追求する能力と、その創作活動にとくに関連しています。詩人や芸術家気質ですね。
開放性スコアの高い人は、拡散的思考(さまざまな方向に考えをめぐらせる)によって、イメージや連想が広がり、これまでなかった新しいアイデアや作品を生み出すことに長けています。
そのため芸術や研究関係の仕事で活躍したり、興味関心にしたがって次々に職を変えたりする傾向があります。
ただ連想が広がるゆえに、慣習的な組織になじまなかったり、超常現象を体験したりなど、精神病リスクが高まることもわかっています。
一方で開放性スコアが低い人は、現実的・実際的にものを考え、既存の概念にそった行動をとる傾向にあります。
【体験と感想】「ビッグファイブ」性格分析やってみた
今回は、ダニエル・ネトル博士らが開発した「ニューカッスル・パーソナリティ評定尺度」を使って、私自身のビッグファイブをテストしてみました。
「ニューカッスル・パーソナリティ評定尺度」では、12個の質問(例「知らない人とすぐ話ができる」など)に対してそれぞれ自分がどの程度あてはまるかを5件法(「きわめて当てはまる」から「まったく当てはまらない」までの5段階)で答えることで、「ビッグファイブ」パーソナリティ特性を分析することができます。
【回答方法】
それぞれの問いに対して、自分に該当するものを点数化していきます。
Q7とQ9を除く全項目には、
「きわめて当てはまる」を5点として、「やや当てはまる」が4点、「どちらでもない」が3点、「やや当てはまらない」が2点、「きわめて当てはまらない」を1点として回答。
Q7とQ9の項目には、
「きわめて当てはまる」を1点として、「やや当てはまる」が2点、「どちらでもない」が3点、「やや当てはまらない」が4点、「きわめて当てはまらない」を5点として回答。
【判定方法】
Q1+Q6 → 外向性スコア
Q5+Q10 → 神経症傾向スコア
Q4+Q9 → 誠実性スコア
Q2+Q7+Q12 → 調和性スコア
Q3+Q8+Q11 → 経験への開放性スコア
5分ほどでテストでき、しかもその精度は科学的にも実証済みなので、とても使いやすいです。
詳しいテスト法と判定基準は『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』をご参照のこと。
私の場合は、このような結果になりました。
外向性:低い
神経症傾向:高い
誠実性:中間ー高い
調和性:中間ー高い
(経験への)開放性:中間ー低い
結果には、おおいに納得ですね^^。
人とわいわいやるよりは、1人で本を読んだり、じっくり考えながら文章を練っていることに没頭できる(内向性)、事前の計画や準備に時間をかける(誠実性)、抜けがないか心配になったり、もっとよくできないか何度も見直す(神経症傾向、誠実性)などの行動をとっているなと実感。
ふだんから「こんなことしたいな」、「これは苦手だな」とうすうす感じていることでも、今回改めて客観的に数字やグラフで表してみると、自分の特性が腑に落ちました。
「神経症傾向」の高さは精神的なストレスやメンタルの落ち込みと関わるというのも体感としてわかります(考えごとやシミュレーションを頭の中で反すうしている)し、救いがないようにも思えます。
しかし、ダニエル・ネスト氏が送る次のようなポジティブなメッセージには、力強く背中を押され、勇気が湧いてくる思いです。
むすびに
今回は、いま世界でもっとも有力で科学的に信頼性の高い性格(パーソナリティ)分析である「ビッグファイブ」について、その理論のまとめと体験談について書きました。
結論として、
自身のパーソナリティ(個性)を理解し、それを存分に活かすことが幸せな人生につながる。
ふだん自分が無意識のうちにやっている行動や考えていることは、他の人にとっても当たり前ではない。同様に、他の人の特性は、自分とは別物であると認識する。
自分のパーソナリティを尊重するとともに、他者のパーソナリティをも尊重することで、お互いに心地よい関係や誰もが生きやすい社会を築いていくことができる。
「ビッグファイブ」パーソナリティ特性には、いずれももれなく利益(メリット)とコスト(デメリット)がある。自身のパーソナリティの利益が存分に活きる働き方を選び、かつコストになる領域からは手をひく。その選択が自分にも、まわりの人にも幸せな人生となるでしょう。
いかがでしょう。あなたも自分のパーソナリティを理解し、それを活かしたいと思われたのではないでしょうか。
パーソナリティが「強み」として活きるやり方や環境を選択していくことで、あなたらしく成功し、人生の満足度がぐっと高まります。
「もっと自分のことを理解して、自分らしく生きていきたい」という方は、ぜひ一度、ビッグファイブ性格分析をやってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
パーソナリティ「ビッグファイブ」理論のことがよくわかる参考書籍
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