これからの居心地の良さについて 新藤みなみさん編/「Terra Australis Incognitaが消えるまで」
イントロ
全員に訪れる未来そのものを、必ず向かう場所として捉えてみる。そこがもし島や大陸ならば、周りに流れている海には何が流れているだろうか。未来そのものは、漂流先/旅行先のどちらだろう。
およそ一年をかけ、さまざまな場所で公演を行う演劇作品『Terra Australis Incognita』の宣伝文はそのように書いています。
ウイルス禍において、公園がひとつの息抜きスポットになり、リモートの会議などが増えることで、おうち時間を豊かに・快適にするためのグッズが売り上げを伸ばしたりしました。
そこから広がり「これからの居心地の良さ」について考えてみます。一口に「これからの居心地の良さ」と言っても、場所やコミュニティによって変化し、多方にも跨るこのテーマを元に、さまざまな方とお話をさせていただいた模様を、記事として更新していきます。
それでは、本編をご覧ください。
本編
三橋 今回もね『これからの居心地の良さについて』ね、話をしていこうと思っています。それでは今回のゲストは新藤みなみさんです。おねがいします。
新藤 どうも〜。
三橋 今回もね、話し手、聞き手として小見と宮ヶ原に参加してもらってます。よろしくお願いします。進行は三橋です。
小見・宮ヶ原 よろしくおねがいします。
三橋 15分間のあいだ、たっぷり話していきましょう。それじゃあ行きましょうか。じゃあ、タイマースタート。
タイマースタート
全員 お願いしまーす。
三橋 突然ですけど、「居心地の良いところ」って、企画のアイデアを聞いたときには新藤さんはどうでしたか。
新藤 家だなって思ったな。ベッドかな。
三橋 うんうん。
新藤 宮ヶ原に紹介した、瞑想のためのアプリみたいなのがあるんだけどね。
宮ヶ原 はいはい。
新藤 寝る前とか傍において使うんだけど、瞑想の導入というか。
宮ヶ原 いい感じの音とともに、いい感じの声で話しかけてくる。
三橋 あ、喋りかけられるんだ。
新藤 それを寝る前にやってるんだけど、その中でビジュアライゼーションっていう、「今いる場所じゃない場所や空間をイメージしてみよう。そうしたら寝やすくなるよ」みたいなのがあって、「あなたが一番くつろげる空間をイメージしてみましょう」って言われるんだよね。でも自分はそれがベッドだから「え、イマココなんだけど」みたいな。
三橋 あー。
新藤 で、「足が触れている部分はどういう感触ですか?」って聞かれたりもするけど、今体験しているこういう感触なんだけどなーって。
三橋 うんうん。
新藤 それで、家だわーっと思ったね。
三橋 やっぱりリラックスというか良い感じなのは、お布団なんですかね。
新藤 お布団と、私はお風呂場。
宮ヶ原 いっしょだ。
新藤 そうだね。だから、そういう意味ではみんなといっしょかもしれない。それで、それ以外で居心地の良いところ無いかなーと思ってたんだけど、私、ホテルの部屋とか、全然自分と関係ない街とか歩いてるときが好きかも。
三橋 あ、意外と。全然なんか、さっきの「家の中」って感じとは逆ですね。
新藤 たぶんちょっと、テンション感が違うのかな。リラックスの。
三橋 どこの街が良かったとかありますか?
新藤 えー全然知らない街だったら都会でも、田舎でも良いかもな。
小見 それは自分の知ってる人がいないからみたいな?
新藤 あ、でも、他人にはちょっと厳しいかも。人とすれ違うとなんかね。
三橋 あー。
新藤 このご時世とか関係なくてもさ。
三橋 身構えちゃう?
新藤 そうそう。
小見 確かに確かに。
新藤 前から何人くらい歩いてきてる、後ろからも自転車が来てる。どうするよ、みたいな。
三橋 なんかなぞなぞみたいですね。
新藤 あと、今日もここ来る前に、自分の住んでる家の周りを歩いていたらさ、なんかおじさんが二人ですごい酔ってて前から歩いてきて、すごい危ないなと思いながら迂回したら、なんかお礼されて、「うっす!」「うっす!」みたいな。礼に始まり、礼に終わるみたいな。
全員 (笑)
新藤 「うっす、ありがとうございます!」みたいな。
宮ヶ原 それ面白いな。
三橋 ま でも、いい人ではあったのかな。
新藤 いい人だったんだけどね、でも、変な人だね。
小見 たまに、物理的に危害を知らない人に加えられることがあったりとかするんですけど自分は。だからというか夜道とかで人と一対一ですれ違うときは腹筋に力をいれてます。もし刺されてもいいように。すれ違ったさっきの男の人が、後ろから追っかけてきた場合の対処法とかもずっと考えてる、歩いてるときは。
宮ヶ原 私は怖そうな人とすれ違ったあとに、ドラマとかで刺されたのを気付かずに時差で「あれ......?」ってなるシーンみたいなのを想起して、人とすれ違った時はちょっと経ってから背中確認したりするね。
小見 フィクションだとね、すれ違ったあとに下を見たりしたら、刺されてるの気付いて痛がるよね。
宮ヶ原 それで倒れるみたいな。
三橋 夜道とか気持ち良いからちょっと口ずさんでたりするじゃん、歌とか。それで、人が来ると時々ね「チッ」って思っちゃったりするんだけど、多分あっちも思ってるんだろうなって思うよね。お互いにね。
新藤 もう会わない人なのに怖かったりするよね。それプラスご時世もあるから、考えることが増えちゃったし。
小見 今日職場で、店長がUber Eatsの運転手にいちゃもんみたいなのをつけられてて、その運転手の人は怒鳴ってるんですけど、怒鳴る時に絶対にマスクをなぜか外して口が出るようにして怒鳴るから、なんか体がすくんじゃって。マスクが外れてる人の前にいくことが怖く感じちゃって。
宮ヶ原 家でもそうですけど、だんだん居心地良くなってきたなとかいう瞬間とかあるじゃないですか。だからなんか自分で居心地いいところを広げることができるもんだと自分では思っていて。そういう、街単位くらいで居心地が良い感じになるみたいなのってあります?
新藤 結局考え方次第じゃないかな。考え方っていうか、なんか、なんだろうね。そういうのなんていうんだろう。
宮ヶ原 なんなんだろうな。それはたぶん知ってることが増えたりとか、自分に対しての相手の印象が良くなったりとか、
新藤 自信ついたりとか、仕事覚えてきたとか。宮ヶ原 そうそう、案内できるようになった街になったとか。
新藤 困ったときこのカフェに行けばいいとかだ。
宮ヶ原 そうそうそう、自分が1人になった時にやることがある空間とかに居心地の良さを感じる。
三橋 自分でマップを作っていくみたいな。
宮ヶ原 うん。
小見 そういうオススメな空間に新たな人を呼ぶとき、自分で誘導して、どうぞきてくださいって言うのすごい緊張しないですか?
新藤 する。
小見 センス問われてるし、これに対してもっと好きになって欲しいしね。街だったら街を好きになって欲しいから、どうプレゼンテーションしようかっていうのを考えちゃうよね。
三橋 最初に薦める時は、「ここいい街だから、おいで〜」っていうけど、それで期待値を上回らなかったら嫌だね。
小見 そう、やだ。「あれ、ちょっと前来たときは良い感じだったんだけどねー。」みたいになる。
三橋 ちょっとね思ってたよりも、相手のリアクションが良くなかった時にね。
宮ヶ原 作品とかも一緒だよね。
新藤 あー。
宮ヶ原 「ここから面白いから」って言って、あんまりアクションがよくなかった時みたいな。
小見 そういう面白さみたいなのを他の人と共有していくのって、すごい難しいなって思ってて。自分1人だと、その居心地の良いものとかどんどん広げられるけど、他の人と一緒に作っていくのってすごい、難しいなって。
宮ヶ原 思い通りには行かないからね。
新藤 逆に紹介された時とかも気を遣う。
三橋 そうだね。
新藤 「あんま面白くないかもだけど、良いとこ探そうかな」みたいな。
三橋 美術館好きなんですけど、なんか居心地の良い美術館と良くない美術館ってあるんですよ。めちゃくちゃ人気の美術館とかあるじゃないですか。何年ぶりに来日とか、人気の特別展みたいなの。ああいうのって行くとすごい人が多くて、絵なんて見れたもんじゃないじゃないですか。展示物より人を見てるじゃないですか。人の流れだけを見て、「今日ちゃんと見られるかなあ」みたいな。だからね、座れる美術館ってめちゃめちゃいいなと思ってて。
新藤 あー。
三橋 意外と回廊が長かったりとかすると、疲れちゃうのもあるけど、なんか立って眺めるのと座って眺めるのと両方で見たいなと思ってて。大きい作品とかだったら特に。でもなんか、映像作品とかもあるじゃないですか美術館って。自分はアレちょっと苦手で。自分で見る時間を決めたいのに、キャプションにこの映像は何分ですとか張り出されてると、なんか居心地悪いなと思っちゃうんですよね。
新藤 ルーブル美術館に行ったことあるんですけど。モナリザの前がすごい人で、でもそれで「あー、モナリザやっぱすごいんだな」って。全然近寄れないんだけどさ。で、全然人気ないでかい絵とかの前に椅子とかがあってそれにどかっと座って見るんだよね。
三橋 好きに見られるそっちの方が体験っていうか、記憶としては良いかもですよね。やっぱりモナリザすごいんだなって言う、人の具合を見させられる感じですもんね。
新藤 モナリザ自体がどうかはちょっとわかんないね。
小見 なんか、小ボケがある美術館とかよくないですか?
新藤 小ボケ?
小見 あの、ガッツリはボケてないんですけど、「普通に考えたら面白いなこの中にこの絵が一枚あると」みたいな。なんかずっと美しいものばっか見てると、ただの風景にしか感じなくって。なんの感動も無くなってくるときに、なんだよこれみたいなのが一個くらいあると、めちゃくちゃ嬉しくて。
三橋 なんか、リラックスできる自分のポイントがあるのかもだね。エアポケットっていうか。でも、ずっと緊張させられる美術館とかあるじゃん。最初から厳かな感じで。インストの尖った曲が流れてたりして。
新藤 巡る時とかも、なんかちょっと背筋をピンとする。
三橋 すれ違う人の服が気合入ってると、あれ?って。
新藤 自分も見られてる気がする。
小見 六本木、日本橋あたりがそうなりますね。
宮ヶ原 それでいうとやっぱ図書館とかもそうだよね。
新藤 あー。
宮ヶ原 全然居心地良くない図書館ある。
三橋 あるね。最近だと図書館に椅子が全然無くて。
小見 あー。
三橋 1時間とか2時間で出てくださいみたいなのが書いてあって、勉強してる大学生とか可哀想だなって思う。
新藤 大変だね。
小見 なんか図書館って、その地域の人のためのものじゃない。だからその地域の者だと思われるように、馴染むように振る舞うね。
三橋 司書さんにはバレてそうね。初めて見る顔だなって普通に思われてるよ。
小見 絶対そうだよね。
三橋 自分だと図書館は、「この本、奥にありますか」って聞くとき緊張しちゃう。
新藤 そういうのやだよね。私絶対聞かないし。
三橋 そこでの立ち方がわかんなくなるよね。「これ、ちょっと在庫捜索してもらって良いですか」って言った時に「ちょっと待ってください」って言った時の、どう立ってたら良いのかっていうか。コンビニであっためてもらってる時の自分もだけど。
宮ヶ原 慣れちゃった、それには。
新藤 すごいね。
宮ヶ原 それに億劫な時があったんだけど、乗り越えた時には「よし、コミュニケーション力一個上がったっ」て思ったね。
小見 わー、いい。いい。
三橋 スタンプラリーみたい。
新藤 いいね。店員さんに迷惑かけたくない感じあるね。なんかどこの店もそうだけどさ、なんとなく、あとあんま喋りたくないな、
タイマーがなる
三橋 あ。鳴っちゃった。すみません。
新藤 いやいや、
三橋 というわけで以上、今回のゲストは新藤みなみさんでした。皆さんありがとうございました。
全員 ありがとうございました。
お読みいただきありがとうございました。
よろしければ、次回もご覧ください。
譜面絵画 1st(戯)曲アルバム『Terra Australis Incognita』
▼ご購入はこちらから▼
https://fumenkaiga.wixsite.com/fumenkaiga/album
収録(戯)曲
1. 初鳴日
2. FOLKLORE
3. 新世界よりも
4. ビオトープ
5. Log
6. 銀貨(裏)
7. ツーリズムガイド
8. 緑と青の全貌
譜面絵画 vol.11『Terra Australis Incognita』
② 祖師ヶ谷大蔵 ver. 「映像公演」
▼チケットはこちらから▼
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01499511fjx2k.html
【出演】
小見朋生(譜面絵画)
宮ヶ原萌(譜面絵画)
【スタッフ】
脚本・演出・編集・宣伝美術 三橋亮太(譜面絵画/⻘年団演出部)
照明 黒岩玲音
制作 大川あやの(譜面絵画) 河﨑正太郎(譜面絵画)
制作補佐 落合比奈
譜面絵画 vol.11『Terra Australis Incognita』
③ 吉祥寺 ver.
▼チケットはこちらから(Peatix)▼
https://fumen11.peatix.com/
▼チケットはこちらから(PassMarket)▼
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01hyta11h6vsh.html#detail
【会場】
吉祥寺シアター
【日時】
2021年3月14日(日)
【出演】
小見朋生(譜面絵画)
宮ヶ原萌(譜面絵画)
川端真奈
新藤みなみ(中野成樹+フランケンズ)
高橋星音(無名塾)
中村康太郎(人生旅行)
中山正太郎(無名塾)
松﨑義邦(東京デスロック)
三河美優
村山和弥(三輪舎)
【映像出演】
南風盛もえ(⻘年団)
黒澤多生(⻘年団)
【スタッフ】
脚本・演出・宣伝美術 三橋亮太(譜面絵画/⻘年団演出部)
舞台監督 篠崎うらら
照明 黒岩玲音
制作 大川あやの(譜面絵画) 河﨑正太郎(譜面絵画)
制作助手 落合比奈
美術アドバイザー 白金里菜
協力:三輪舎/人生旅行/青年団/東京デスロック/中野成樹+フランケンズ/無名塾
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
●ドネーション
ご覧いただいた作品・本企画を気に入っていただけましたら、「DONERU」よりドネーション(寄付)いただけますと幸いです。
今後の活動資金に活用させていただきますので、よろしければご支援お願いいたします。
譜面絵画の「DONERU」
https://doneru.jp/fumenkaiga
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