i☆Ris 「White Lyrical Kingdom」の歌詞がエモかった
なにはともあれ、まずはこちらの曲を聴いていただきたい。
そしてこちらの対談を見ていただきたい。
いやエモいって。
どこがエモく感じたのか、ここからは早口考察オタクとなって語っていきたいと思う。
なお当然のことながら、これは単純にいちオタクがどう感じたかを書き連ねたものであり、解釈を強制するものではない。立場によっては不快に思われる可能性もゼロではないため、その場合は謹んでお詫び申し上げるとともに、そっ閉じしていただくことをお願いする。
上にリンクを貼らせていただいた対談の内容をまとめる(24分と長尺に思えるが、たかだかアニメ 1 話分だし内容も濃いので体感2秒で観終わります、ぜひ観て)。
この曲は冬をモチーフにしつつも、メインテーマは、10 年走り続け、そしてこれからも駆け抜けていく i☆Ris ちゃん自身への祝福、ということになるかと思う。
つまるところ、佐藤さんや畑さんから i☆Ris ちゃんへのお祝いのメッセージを、彼女たち自身が歌っていることになる。
結論から言ってこの曲の特筆すべきポイントは、入れ子構造でありながら違和感がなく、かつ誤読しても意味が通るようになっており、さらには彼女たち自身が歌うからこそ生きるようにもなっている、このダイヤモンドのような多面的な輝きにある。
以降、各論的に述べていく。
「届けたい想いに舞う雪よ消えないで」
なんとなく聞いていると、「想い」や「雪」といったワードから恋愛模様を想像するのではないだろうか。その直後の「踊る雪〜」で「君」との個人的な思い出が語られることで、そのあとサビに至るまで、違和感なく普遍的なラブソングとして聞けてしまう。普遍的、悪く言えば薄味である。ラブソングとしては恋愛要素の描写が少なく、感情移入しづらいからである。歌詞を読めば読むほど味気なく感じてくる。
廊下ですれ違うたびに挨拶したし、それなりに遊んだこともあるけど、同窓会で会ったら名前がちょっと思い出せない同級生、と言われて諸兄の胸中に生まれる「あ〜そういうヤツいる、思い出せんけど」みたいな薄味感である。
冒頭に立ち返ろう。そもそも恋愛感情なら「消えないで」と願うのは「想いに舞う雪」ではなく「想い」のはずである。では「想いに舞う雪」とはなんなのだろうか。
雪が他に出てくる歌詞を見てみる。
「一緒に変拍子のワルツ 粉雪 Un, doux, trois!」
「一緒に転調いっぱいのマーチ 沫雪 Crescendo!」
とある。
「変拍子のワルツ」と「Un,〜」、「転調いっぱいのマーチ」と「Crescendo」が対応していることから、前半もそれぞれ対応していると考えれば、雪は一緒に踊るもの、一緒に歌うものとなる。つまり i☆Ris ちゃん自身 (歌っているメンバー以外のメンバー) に他ならない。
総合すれば、冒頭の「届けたい想いに舞う雪よ消えないで」は「この世界に届けたい想いを共にするメンバーたち、これからもよろしくね」という意味になる。
いやエモくね!?!?!?
その解釈で改めて曲を見直してみると、「君」もメンバーのことと読める。ここまで積み重ねてきたメンバーとの思い出や、未来への明るい気持ちが歌われていることに気づく。そしてサビの最後、
「もっともっと近づいて 言葉にならない声を聴いてよ」
これが、お互いへの気持ちをあんまり語らないメンバーからメンバーへの「ありがとう」だと思うと普通に感情が限界を迎える。なんだよこのエモ歌詞。畑亜貴先生天才すぎないか?
そして2番サビ前「くっつき過ぎてごめん でもいいかな 大好きさ」、今回のMVメイキング映像にあった、お互いにギュッとくっついて照れていた i☆Ris ちゃんの姿を思い出せば、すでに限界のエモが加速せざるを得ない。もうやめてくれ、死んでしまう…。
ちなみにその直前「すごくあったかいよ…どうしてだ」を、メンバーと最もイチャイチャ営業しなさそうなみゆたんが歌い、コーラスで他メンバーが「恋って言っちゃえば?」とけしかけているのがもう、良すぎ。恋しちゃってくれ。頼む。次のMVではほっぺチューくらいは期待してもいいかな?いいかな?大好きさ。
もはや余談と言ってもいいが、「雪」が冬を示すものでないのなら、「冷たい風」も「寒くなった」も比喩表現と考えられ、それぞれ解釈可能であるため、この曲は季節を問わないということにもなる。オールシーズン、エブリデイ、エモ。
曲としての解釈については私があんまり音楽の素養がないため多くは語れない。有識者諸兄の慧眼によるレポートに期待したい。
私から言えることは、転調が気持ちいいということ、それにより明るい未来を連想させること。そしてMain vocal off ver でよく聴くことができる1番の「ちょっとじゃないね…いっぱいだ」を歌うみゆちゃんのコーラスが可愛すぎてここだけ聴いて酔い潰れられるくらい好きということくらいだ。メンバーみんなで進んできた道を、メンバーみんなのコーラスで彩っている構成もいい。
作曲者、作詞家や、メンバー皆さんの想いなどを知る機会は実に限定的で、リリースされた完成形に至るまでのほとんどの経緯を私たちは知ることができず、ゆえに曲に対して非常に解像度の低い理解しかできない。今なおバッハやモーツァルトたち名だたる作曲家の友人に宛てた書簡が真実を明らかにするように、作者から受け取り手に至るまでに情報が減衰してしまうのは古来よりの宿命なのだろう。
だからこそ、こうして対談を出していただけることは本当に貴重でありがたいことと思う。圧倒的感謝。
長ったらしいオタクのお気持ち長文に時間を割いてくださった皆様にも感謝を。今後この曲がライブを通してさらなる輝きを得ることを楽しみに思うばかりである。
追記:
この記事を読んだ妻に「i☆Ris のロゴがアスタリスクで雪の結晶みたいだから、雪は i☆Ris のことかなって思ってたよ〜」と指摘されました。なんて簡潔で深い理解なんだ…。
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