祈りの場所 十字架の丘 【リトアニア】
十字架の丘をご存知ですか?
何の変哲も無い平原に突如、何万本もの十字架が建てられた丘が現れるという、一見おどろおどろしい場所なのですが、実態は祈りを捧げる巡礼地です。
2019年元旦にこの十字架の丘を訪問してきましたので、アクセスの方法や、撮ってきた写真の紹介をしたいと思います。
1.解説
十字架の丘はリトアニアのシャウレイという都市から北に15kmほど進んだところにある、何万本もの十字架が建てられた丘です。
2003年に世界無形文化遺産の一部に登録されています。
その起源は定かではありませんが、
1831年にリトアニアがポーランドと共に、当時のロシア帝国に対して武装蜂起した11月蜂起の犠牲者を弔うために十字架が建てられていった、という説が一般的です。
なお、遺体の代わり十字架を建てたため、お墓ではありません。
(この蜂起は失敗しています)
その後、リトアニアは1918年に独立を果たしたものの、第二次世界大戦中にはソ連に併合されてしまい、リトアニアの人々は様々な弾圧に合いました。
やがてリトアニア中のカトリック教徒が、ソ連からの弾圧の犠牲者を悼んだり、平和や独立への祈りを込めたりしてこの十字架の丘に十字架を捧げるようになります。
ソ連はリトアニアの団結を恐れて過去4度に渡って、十字架の丘を全焼させたり、ブルドーザーで破壊したりしましたが、その度に十字架の丘はリトアニアの人々の信仰心により復活を遂げてきました。
1991年にリトアニアが無事独立を果たすと、徐々にその名が知られるようになり、1993年にはローマ法王が訪問したこともあって一気に知名度が広まりました。
そして2001年に『リトアニアの十字架の手工芸とその象徴』の一つとして無形文化遺産に登録されました。
(ちなみに、私が十字架の丘を知ったきっかけは「世界の果てまでイッテQ!」でした)
2.アクセス方法
十字架の丘はバルト三国の最南の国リトアニアの北西部にあります。
最も近い都市はシャウレイ(Šiauliai)であり、ここを中継点として旅することになります。
日本人旅行者が十字架の丘へアクセスする方法は、2つありますが、いずれも最寄りの都市シャウレイ(Šiauliai)に向かうという点では同じです。
①首都ヴィルニュス(Vilnius)から電車もしくはバスでシャウレイに向かうルート(赤いルート)
②隣国のラトビアにあるリガ空港(RIX)・リガ市内(Riga)からバスに乗って、シャウレイに向かうルート(青いルート)
シャウレイに着くには、リガ空港からシャウレイ行きのバスに乗る②の青いルートの方が早く着くのですが、私は前日にヴィルニュスに宿泊していたので①の赤いルートを利用しました。
シャウレイに着いてからは、路線バスもしくはタクシーで十字架の丘に向かいます。
シャウレイから十字架の丘に向かうには、路線バスの場合はヨニシュキス(Joniškio)行きのバスに乗る必要があるのですが、下の画像の通り運行本数が少ないので注意が必要です。
バスに乗ったあとは、最寄りのバス停ドマンタイ(Domantai)から15分ほど歩きます。
3.ヴィルニュスから十字架の丘へ
私はヴィルニュスに宿泊していたので①のルートを利用しました。
これから十字架の丘へ向かう方の参考になればと思います。
朝6時半にヴィルニュス駅にやってきました。
雪で路面が凍結しておりとても滑りやすく、キャリーケースを転がすのに難儀しました。
朝6:50 ヴィルニュス発 → 朝9時9分 シャウレイ着
所要時間 2時間19分
1等席と2等席がある中で2等席を選びましたが、十分な広さです。
切符は窓口だけでなくwebで購入できます(リトアニア語、英語、ロシア語のみ対応)。
購入すると登録したメールアドレスに大きめのQRコードが記載されているPDFが届きますので、スマホに保存しておきましょう。
また念の為、印刷もしておきましょう。
座席は転換せず、固定です。
私は誤って進行方向と逆方向の座席のチケットを購入してしまいました。
荷物棚とトイレもあり、快適に過ごせます。
このように軽食の車内販売もしています。
車内検札を受けた際に、発券された切符です。
ただのレシートに見えますが間違いなく切符ですので、無くさないようにしましょう。
ほぼ定刻通りにシャウレイ駅に到着しました。
無人駅です。
ここからバスターミナルまで歩いて向かいます。
所要時間は10分ほどです。
リトアニアはあまりお金がない国なのか、舗装がガタガタです。
バスターミナルに到着はしましたが、まだ窓口が空いていませんでした。
おまけに、1月1日ということもあって、荷物を預かってくれるオフィスも休業中でした。
リュックを背負っているだけでなく、キャリーケースもあったので非常に焦りました。
どうしよう、この荷物…。
バスターミナルから歩いて十字架の丘に向かうと、2時間半はかかるので、流石にこれは不味いと思い、渋々タクシーに乗りました。
バスターミナルにはタクシー乗り場がありますので、そこでタクシードライバーさんに"Hill of Crosses, Please!"と言って連れていってもらいました。
若干の遠回りをされたものの、なんとか無事十字架の丘に辿り着きました。
(これが海外での初めてのタクシー利用でした)
ここで嬉しい誤算がありました。
帰りはキャリーケースをゴロゴロ引いて徒歩でシャウレイに戻って来ようかと本気で考えていましたが、ドライバーさんが「ここで1時間待っててあげるよ!」というのです。
そういう商売のやり方なのかもしれませんが、私にとっても悪い話ではなありませんでした。
”Ačiū!”(リトアニア語で、ありがとう!の意)と言ってタクシーを出ました。
4.念願の場所へ
2019年1月1日、十字架の丘にいたのは、私一人でした。
丘へと続く道にも十字架が。
十字架の”丘”入口
道の先には聖母マリアの像があります。
日本人も少なからず訪れているようです。
十字架だけでなくロザリオも供えられています。
聖母マリア像
曇っていたこともあり、たまにこんな写真も撮れました。
20分ほど写真を撮りながらぶらぶらしていると、だんだんと明るくなってきました。
木彫りはこの地域の名産品だそうです。
これらのサイズの十字架は近隣の土産物店で買えるようです。
ただ流石に1月1日は営業していませんでした。
まるで門のように。
1時間を目一杯使い、タクシーに戻りました。
その後シャウレイのバスターミナルに戻った私は、バスでラトビアの首都リガの空港まで向かい、日本に戻りました。
十字架の丘についた当初は、「どんよりした天気で、店も空いてない1月1日なんかに来るんじゃなかったなぁ」と少し後悔しましたが、逆にそのおかげで誰とも出くわさず、この素晴らしい空間を独り占めできました。
結果的に大変満足しています。
でも、もし次に訪れる機会があれば青空が見える日がいいですね。
また違った印象を受けると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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